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作品 - 20080708_192_2882p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


「穴」を巡る証言

  ミドリ


壁には一つの穴が開いていた
ただの穴じゃない
罪深い穴だ

ぼくはこれからこのたった一つの穴が
いかに”罪深い”ものになっていったか
それを語らなければなるまい

その前に少しコーヒーを
(´−`;)y−”

しかし今日ここに集まったみなさんの中には
たった一つ穴が(たった一つの穴ぼこがですぞ!)
それがどうして歴史的証言になりうるのか?
そういう疑問を持たれる方もおられるかもしれない
ひょっとしたら?
大半の方がそう思われているかもしれない

情けない話ですナ (><)

しかし当セミナーでは
3万円の会費が必要です
つまりみなさん方はおのおの3万円(一部の裏口の方を除いて)
払って私の講義を聴きにこられている

「穴」についての話で

(会場は爆笑!)

しかしこの穴がベルリンを東西に仕切っていた壁を
崩壊させたものだ あるいは
アポロ11号を月へ送り込んだものだと言ったら
みなさんは信じるだろうか?
前列の右から三番目のご婦人がズイブンしらけた顔をしてらっしゃる

(会場はまた爆笑!)

少しコーヒーを
(´−`;)y−””

みなさんにはこういう思い出がないだろうか?
子供のころ父親の運転する車の助手席に座っている
普段あまり会話のない父親と車の中で二人きり
話題に事欠いて気まずい雰囲気になる

こういう時
まず思いつくのがカーラジオ
車の中でのつかの間の父子のひと時
ラジオが家族の愛を支えるとは皮肉なものです
しかしラジオなどなければ
もっと言えば
車などなければ
そこにはもっと違った
しかるべき愛の形があった筈です

それではみなさん
「穴」についての話を始めましょう

文学極道

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