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作品 - 20080609_681_2822p

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グロウズの祝祭

  田崎


グロウズの祝祭は偽者である。蝶々が途々に緑雨を付着
させる。旅の財布は藪裏の跳梁と合奏していて、毛羽だ
ち、ハロウを描いていく。
雪唄のような雷光が、むしろ黒土地の数メートル上で出
現し、白い光を世界のうちのこの一角に補給したあと、
非常に穏かに消滅するのが望める。広場までの道を森は
遮り、入り組んで行く私の体に、何かを媒介しようと干
渉している、その植生は飛去した。
広場の輪郭が顕かになってくると、うすい労働者と祭司
とが、各々の罪状を独りで反芻する上空を、涙目の蛾が、
幾匹も幾匹も揺蕩っていた。
冤罪のため、根拠は順々に回想されると思っていたが、
産道から生まれ落ちる間、復位は常に成し遂げられ、マ
ントルに乗っている内に、述懐と悔恨の仮想訓練をして
いた。
丘陵表面は広大な斑をかぶり、孕んでいるようなその上
を、葬送が跡を付けていく。そのような暴行が、あちこ
ちで行われると、かつての前髪の残滓を見遣る眼差しが、
徐々に黄ばんでいく。

文学極道

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