無限の蝉。
扉が剥がれ落ちた、長方形の空間から
展開する赤い土地を見ていた。
鶏の首を縄で括って吊し、
黄色い父がやって来る。
(鶏。
その脂分の致命的甘味。)
酸化鉄の匂いの熱風、横転するバケツ形のバケツ。
父の視線と鶏の視線。それが
脳の最奥に楔形に揃う破片。
私の実体は
サバンナの高木の
白い樹皮でしかなく
四分五裂、運動的に乾燥している。
レム睡眠はこのまま覚めない。
意識の表層に掌を当てる。
ざらついた巨大な球形、
赤い蝉。
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選出作品
作品 - 20080531_451_2801p
- [佳] 扉のあった空間から見た赤い土地 - 右肩良久 (2008-05)
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扉のあった空間から見た赤い土地
右肩良久