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作品 - 20080308_745_2653p

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朝の陀羅尼

  いかいか

朝の陀羅尼、


朝の団欒の中で、
私たちの産卵は始まる、
どこまでも
うつぼ舟の中で眠ったままの
黒くたれるもの、
それが読経の春に、
呼び覚まされて、
この黒く一人でたれるものを切り裂く、


神産みの朝、
あんとくてんのうが、
再度生まれなさる、
そのために、
禍津日神は微笑みかけて、
私たちのスサノオを殺す、
それが僕が夢見る
永遠だということを、
こっそりこの日、開示しよう、


僕の逆行する視線や
翻る瞳で見る瞼の裏側に
広がる銀河鉄道の悲しい話や
それ以上に、
この朝の陀羅尼が
僕の田畑を締め付ける、
納屋に積みあがるのは労働の垂れる唾液、


おお、ザネリ、ザネリ、
カンパネルラ、カンパネルラ
さいごに、ジョバンニ!
君らの黒いものを、
この僕の視線で死滅させてやろう、
そして、
やはりまたどこかで黒いものが
たった一人で垂れる音が聞こえ始める、


裂ける背骨の木々の音、
山水画の山脈から流れる川
立ち上る隠喩の蒸気、
ガンジスの沐浴を、
すべての聖者達に
かの川の灰の汗を浴びせたまえ、
エノラ・ゲイの陽光を、
いままさに、
僕らは夜の夜明けの中にいる


手垢だらけのバイブル、
もしくは、ボロの法衣、
そして、手を合わせる恐ろしい数の人々、
裸なのは
私の唯一の戦争、


都市が老いて行くのは
この限りなく済んだ陀羅尼のせい
私たちが鼻歌を口ずさむように、
地球を転がすものならば、
あんとくさまが、
草薙の剣を振りかざして、
世界の花嫁を車窓から追い出す、
さようなら、
黒い花嫁、
君がこれから行くのは、
あの飛来する最前線、
切り開かれなかった田畑の上を、
麦をまきながら
永遠に生まれないはずの子供を抱きながら、
まるで母親のように、
そして、
最後の入水が僕らの晩餐だ、
それは日の出からさす夜の肉体、
たった一羽の小鳥を打ち落とさないための受難のとき

文学極道

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