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作品 - 20080206_170_2595p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


青梅街道

  まーろっく

青梅街道は二月の光のなかにあり
遠い思いばかり身を刺して吹きすぎる

若い革ジャンの背中ふたつ
どこまでもバイクで追っていた
影でのみ記された風の詩想

西は奥多摩の紅葉に燃えて散り
東は首都の心臓に刺さる矢となる
青梅街道善福寺あたり
ゆるいS字カーブを鋭角に感じるまで
スピードに震えていた日々

許されぬまま置き去られた花のように
愚行ばかりが沿道に咲き残っている

新宿。際限もなく紙幣の乱痴気騒ぎは続いていた
高層ビルに排気音を叩きつけるのが好きだった
あの沸騰した時代の夏の夜
都庁舎建設地には巨大な基礎坑が穿たれ
作業灯が点々と地の底までともされていた

お前はまるでSFアニメみたいだと笑い
飲み干した缶コーヒーを穴の中へ投げ入れたのだった

ああ それはひとつの終止符として落ちた
この街道の 若さの 風の詩想の
けれど俺たちはただ予感しただけだった
遠い地の底から小さな悲鳴が届いた時に
ふざけ笑いを消しながら

青梅街道は二月の光のなかにあり
遠い思いばかり身を刺して吹きすぎる

お前がいない街角に
風の詩想が吹きすぎる

文学極道

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