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作品 - 20071130_846_2476p

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海岸帯

  田崎

振られ、凝っていく海に、
服の切れはしが散り、
「家なし」の、私たちは
体がやけに海に似て
組成式は樹となり
色んな元素を孕んで
空には光子が走り回り
気圧はスペクトラムをつくる――一層砂浜は拡がる。
分解して、蒸発したり
生成して現れたりする外縁は、
行き場のないこの入江を
連続して定義しつづけ
壊れているのを
組上げることで
相殺しようとする。
水は清く
微細に振動している。流体はなにも
含まずただ温みを撫でるだけ、鴎も海猫も
いない、鴎も海猫もずっといない、鳴き声の存在が消去された途端、
鴎も海猫も、
時間には関係なくいなかった。
そうやって色んなものが足りないけど私は、
この海岸に組み込まれることを許されていた。

文学極道

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