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作品 - 20071103_197_2430p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


最後の遊園地

  レルン

最後の遊園地で
ペリカンと遊んだ
ペリカンは規則正しく揺れるだけの
機械、と呼んで差し支えないやつ
冷たい体を震わせて
前へ後ろへ、前へ後ろへ、
よそ行きの服が
ボロボロになって
自分の軋む音以外
何も聞こえなくなるまで

それから
朽ちた自動販売機で
オレンジジュースを買い
店員のいないレストランで
おもちゃ付きのカレーライスを食べれば
雑草の影から
鉄だったものが延々と伸びてゆく
笑い声のない
魔法の国
埋まったままの呼吸たちのせいで
少し風が強い、
分かれ道を
ずっと左へ行く
係員が笑顔で
ぬいぐるみを着こなしている


最後の遊園地は
優しい人が自殺するシーンからはじまる
スクリーンが血で染まり
夕陽の訪れを知る
ロケットの形をした乗り物が
永遠に回転をつづけ
振り落とされてしまった子供たちは
大人になってしまう
誰かの悲鳴と
ぬいぐるみの背中の真実
そしてレストハウスの
ぬるいレモネード、
錆びついた鉄の曲線、
エントランスゲートの脇に
そっと置かれた白い花を密封すれば
夜には蛍になるはずだったのに
夜は来ない
来ないまま
夜をこえてしまった


ペリカンの軋む音が
錆と雑草の鼓動を消す
無音
ひかりの波が
ざわめきをやめた路面ではじける

文学極道

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