私は と言うことに決意はない
ただ、雨垂れの音を数えている
増える楽員の鼾の影に
落ちている胎動
(挨拶が殖えていく森の
緑の溜め池)
血色のいいりすがいる
潤んだ目がとんぼのように膨張し
白い腹には水銀袋が詰まっていた
「私のための
特異なりすのための
不安、という言葉」
辺りに埋まった小石が
孵化して
小さな生命
を持った
持ったから
祖父は泣いたのだと思う
私たちの足許に蟻が
私は 私は という言葉を
私たちが口にするたび
蟻は住み処を追われていった子どものように祖父は
泣いたという私たちの足許に 彼の不安に
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選出作品
作品 - 20071027_011_2412p
- [優] 祖父 - 田崎 (2007-10)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
祖父
田崎