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作品 - 20071022_829_2400p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


便所の落書きがなく日に

  いかいか

便所の落書きが泣く日に、
君たちが止まらない季節に、
燃え盛る冬が、
いつの間にか収穫を終え、
無数の積雪を納屋に積み上げるかのように、
私たちはどこへも行けない、


私は君たちの熱い鼓動の季節を感じることはできるが、
君たちの冷えた体を震わせるぐらいの感覚しか持っていない、
もうすぐしたら、
死者達も聖者もこの世からいなくなる、
そういう季節がやってくる、
私たちは静かに神話の中で寝入り、
ゆっくりと今を忘れながら、
何度も何度も、夢の中で、
ノートの端に書き続けるだろう

物語が神話へ熟すとき、
それは破裂して、
二人の人間を狂わすだろう、
その間に生まれた子供たちは、
盗人となって、
ムーサの前で
やはり何度も何度も
追い出された流刑の地を思い出すだろう


神話の中で暴れ狂う一人の男を
先日、古事記を読み直しながら考えた、
物語の中での彼の位置は一体どこにあるんだろうかって、
彼が根の国に降りていくまでに、
多くの人たちが傷ついたり
もしくは、彼を忌み嫌いつつ、
彼は母を求め、降りていく
彼は世界を統べることよりも、
母という女を求めて
暗い死の世界へ降りていくときに、
何を思ったのだろうかと、


便所の落書きが陽だまりの中で、
散乱し、錯乱している、
この季節に、
君たちの鼓動はやはり熱いが、
君たちの体は冬の寒さに凍えたかのように冷たく震えている、

もうすぐしたら、
すべてが神話へ熟して、
一気に破綻するだろうから、
そんなに慌てなくてもよい、と
私が眺める私がいない世界は囁いたまま
静止し、
なだらかに誰かの瞳を反射して、
どこまでも切り開かれた田畑の上を、
照らすばかりだ

文学極道

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