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作品 - 20070416_744_2002p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


ナタリー

  田崎


二度めの呼吸はいつも。繋がれたくさりをい
じわるく撫でて、繊維しつが秋になって。零
度の窓がはためいて、波紋は青い水空の臓物
になっていく。ナタリー。を紙に書いて、お
おごえでこごえで、呼ぶ。海が彼女を忘れる
のは早い。くるってしまわないのは、わたし
たち、こ供だからですこどものわたしたち、
演そうする。

暗くくらく
少年も
(わたしも)少年も/
      /十二分に厚ぎをして
       乱立をちいさくながめている
       ひとたちに混じって
       顔をかくしてきみは
       罅われをかぞえて
      /失くされ
ボールを青い林になげると/
なかから誰か
かえしてくれた

ナタリー、そうやって、青い壁が空ではがれ
ていくでしょうしらないうちにしずかにゆら
れて、きづいたら逃げられているわたしたち。
そうそこに、リンパ腺があって、チョコレー
トいろにみえるのは、人こうの遷移点だ。わ
たしも一緒くたになってゆれているから。け
しきがとけている。わたしも一緒にゆれてい
るから、

しろい貯水池の
ものかげに
裂れない窓がある/
      /そして上映はおわる
       人々が引き揚げていくなかで
       空気をかむように口を開閉し
       さむさを思い出してきた
       君は
      /立ち上りいくけむりをみる
隙まから/
みずが滲み出してくる
ふれるたび何も欠けて

ナタリー。笑わないで。いくつもの遷移体が
あそんでいる空で、からだの震えがふえてき
ます。花も偶にはおいしい、ぼくも彼もわた
しも、つめたい水が沁みてきてる。夜空なん
かじゃないここで、ひとびとのさざめきが聴
こえますかれらは、初めからここに居ない。
わたしたちはせいいっぱいこどもになり、わ
たしたちの演奏に、耳をかたむけます。

文学極道

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