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作品 - 20070410_598_1993p

  • [佳]  公園 - 西人  (2007-04)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


公園

  西人



風がびゅうびゅうつよい日に、少しだけあなたを思ってさみしい気持ちになりました。
手はたえず唇に触れる髪をはらっては、ゆくあてもなく
 ひら、ひら 舞います/むこうのあれ。
時計台が六時を告げると決まって、子供達は母親に連れられて帰ってゆくのです。
そして、あの子供達は星を見たことがないのでしょう。
どうしようもない気持ちは常に頭を旋回していましたが、気付かないふりをすることに慣れてしまっていた私は、仕方なくため息を飲み込んだのです。
風はいずれ止むでしょう。しゃがみこんで爪先をそろえる、バランス/てのひらは舞ったまま。
肌に感じる冷たさは気温のせいばかりではないのかもしれません。
喉が乾いてコクンと唾を飲み込んだとき、白鳥の鳴き声がして、私はなぜだか、今日は星が流れる気がしました。
かわいた匂いはやけに優しくて
 ゆぅら、ゆら あなたのところに行きたい/星が流れた先の風もこうして冷たいのなら。

アン・バランスが幸せだったなんて。


      小さい頃からずっと、星は風に流されているのだとばかり思っていて/  違うと教えてもらったのも、もう随分前のこと。

ブランコが、揺れます。
あのときもブランコはひとりで揺れて
 ギイ、ギイ
 と鳴いていました。
ゆくあてのあった手のひらは
 ひら、ひら
 舞うこともなく、
 とろり、とろり
 眠たくなるような温もりの中にあったのです。

 コクン、唾を飲み込むと感じる喉の痛み/私にごまかされた感情は、びりびりと爪先に集まってゆきます。

白鳥の鳴く声はゆくあてのない夜にいつまでも響いています。

願いなんて叶わなくていいから、と
それでも願ったこと/星が流れたのかは知りません。

足そのものが痺れになった頃、歩き出してみようと思うのです。
転んでも、歩いてみようと思うのです。

文学極道

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