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作品 - 20070214_293_1854p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


開閉

  Ar

窓の向こうの
外の
もっと向こうの
高いところから
耳の奥で音がする
びゅんびゅんと
私のまわりの
例えばバイクにかかったビニールや
隣のお寺の柳の幹までを
飛ばそうとしている
休日

私のからだといえば
まわりの温度より多少低くできている
指の先は(ひとさし指)
干からびてきていて
毎夜 クリームと水分が滲みこむのを確認して寝るけれど
朝を迎えるとともに
外の気温に合わせてからだは
冷えていくので
ひとさし指も元に戻る

こどもはもうしまわれている
木陰の笑い声を踏みつぶしに
たくさんの大きな足たちが
そのあとにまだやわらかい耳元へ囁く
「いいこはもうねるじかん」
私はずっとずっと
瞼を降ろせないでいる

春の雪が積もっていく
耳の奥は 教室であったり、電車が通ったり、地下室がひろがっていたるする
ちかちか点滅しながらちぎれ
ももいろに染まり
私の内臓をとかしていく
日差しだけでは
もうあたためれない
少しでも口を開けたら
私は溺れていくだろう

もしもあす
正しく過すことができたら
風も私の思いの
ままかもしれない
干からびている指も
吹き飛ばせる

高いところからのあおりに
いっとう背を伸ばしてみながら
わたしは
明日の天気を気にしている

文学極道

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