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作品 - 20061218_972_1712p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


『アイベツウサギ』

  しめじ

転びました
擦りむいた傷口に
くちびるの感触
夕日は沈んだし
帰らないと

さようなら
離れた手のひらは
僕のそれとそっくりです
赤い目をしたウサギが
道路の真ん中で寝転んでいる
起こさないと

ピアノの音が充満する
大通りを歩く
可哀想ですね
振り返るとウサギが座っている
気がつけば町中ウサギだらけで
もう泣きそうだ
どれが僕のウサギか
見分けがつかないのだ

 さようなら
 また会う日まで

小学生がそんな挨拶を交わしている
山が遠くに見える
そこへ帰るのだろう
黄色い帽子を被った少女が角を曲がる
疲れた仮面を被った僕も
追いかけて角を曲がる

そこは新宿のビル群
電球がやたらとチカチカだ
ため息をついてわたった橋の上
中央線の真ん中に
投げ入れた指輪のヒカリ

文学極道

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