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作品 - 20061003_924_1587p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


千の滅びの歌

  ikaika

「密猟者」

海綿体の背筋ひとつから光は始まる。無数の鼻腔の内から垂れていく光、手を差し入れよう、 私の右手の血管から噴水のように血が沸き起こり、ちょうど午後に、バルブは閉められ、都市の機能は回復する、 輪廻は再開された、と、私の耳元で多くの人が囁きあう、呼吸と呼吸の間に生産される光、また、手を差し入れよう、 二十日鼠の尻尾が火花を飛ばす、水泡の内に光が見える、さぁ、手に取ろう、そして、左手は壊死する。 夜、夜警が行われる、松明を分けてもらい胸に燈す、母が喜びながら、私の前で火打石を鳴らす、

盗み取られた青ざめた神の群像、淡い透明な松明
夜空にに広がった噛み切ろうとして噛み切ることのできない息
裏口から密猟者が逃げ出していく


「そして、千の滅びの歌」

野ざらしの私の肉体、乳房に似た太陽、もぎ取られた私の果実、 張り裂けた心臓を今日もスケッチする、 筆を握りつぶし、歯で噛み砕く そして、千の滅びの歌、腐臭のする老人たちの死体によって歌われ、水浸しの七日間、野に響き渡る、苔の裏側に隠れてしまった透明な虫たちの声を聞き、地球儀の中に紛れ込んだ蟻の黒い額で見られる夢を思い、そして、私の閉じたはずの瞳は閉じられずに遮光幕に覆われたまま顔の輪郭を超え、あらゆる山脈や都市を超え、砂浜にたどりついて波にさらわれる、再度、千の滅びの歌、腐臭のする老人たちの死体によって歌われて、埋葬される透明な瞳が最後にゆっくりと瞬きをする、その直後、カモメが一匹、砂浜に書いたお前の名をすぐに消せ、と鳴き、遠くに去っていく、


瞳の奥に最後に宿った記憶―淡い透明な松明が放たれ透明な家々が一斉に燃え上がる、燃え落ちた後、水浸しになった地平線を黄ばんだ歯に、大きな鷲鼻の密猟者が一人、超えていく姿を見た、

文学極道

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