さよならの風景は
あまりにも似ているから
昨日桜の樹の下で
だれに手を振ったか
わからなくなる
郵便配達が燃やした手紙が
風に吹かれて
わたしに届いた
燃えるよりほかに
仕方のなかった文字が
煙になって流れてきた
紙の上にあったときよりずっと上手に
わたしはそれを読んだ
郵便配達の使命は
手紙を配達しないことだ
届かない一通の手紙から
文字は溢れつづける
けれど
その手紙をだれが書いたのか
わたしは知らない
もう知りたくない
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