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作品 - 20060503_560_1227p

  • [佳]  月童 - ケムリ  (2006-05)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


月童

  ケムリ

夜の淵が濡れている
窓枠からこぼれるひかり
みんな、窓枠から解け始める
サイレンが鳴り響く 木々が鳴りざわめき

濡れるような翠髪
裸足の上に月を重ねて
全ての窓枠のひかり 折り重なる場所で
月童は踊る 夜の淵を滑るように

星と星の連なり
名前の無い風の群れ
夜にしか飛ばない鳥のざわめき
そのまんなかで踊り続ける

ひかりは通り抜けられなくて
網膜を焼きながら重なっていく
落ちていく眼球を
優しく舐めとる舌に触れて

伸ばした手が分解されていく
ひかりの粒に還りながら
カーテンを引けない大人のまぶた
そのまんなか 月童は踊り続ける

滑らかなかかと 細い指先
ときおり覗くルビイの舌先
あなたのこめかみ静かに糸引いて
夜の淵は毀れはじめる

なめらかな風 寂しい人たち
夜に群れて ひかりに集うゆびさき
手を伸ばした窓の先 全てのひかり 折り重なる場所
月童は踊り続ける 優しく終わる月の夜

幼い官能をたおやかに広げて
だれもが伸ばすその腕の先
ひかりと音が溶け合う夜
誰もがほどけた粒子に満ちて 

文学極道

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