仕事を早く終わらせて無言のお帰りの待つ殺風景な部屋へ
途中寄ったコンビニでビールを買う
無関心なTVのスイッチを押し
4000円で買った中古のソファーに座る
酒に強いことを熱帯魚にまでも自慢していたのは昔
熱帯魚は死んでしまったし
俺の手足は痺れちまっている
痺れた手足が伸びていき
もしかしたら
君の手のひらまで届きそうだと
錯覚しても 注意してくれる奴はいない
酔いが醒めて 手足が縮み
現実を見つめれば
俺の手のひらには何の感触もなく
君の香りもあるわけがない
「夢は夢でいいじゃない」と
誰かの慰めにはっと息を呑む
いつのまにか俺の愛は
慰められる対象になっていた
情けない
握りつぶした空き缶を投げ捨てて
裸足で部屋から飛び出した
外は熱帯魚の死骸でムンとしていた
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選出作品
作品 - 20060412_974_1156p
- [佳] 六畳の墓 - Tora (2006-04)
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六畳の墓
Tora