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作品 - 20060315_242_1054p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


アイ・ヘイト・イット

  ケムリ

切り抜かれた白紙の上で 夕暮れの光が焦げている
林檎が置かれたテーブルで 夜の虫が息づいている
ゴムのピストルで太陽をおっことして
誰かの背中で新しい歌が始まっている

水気のない夜の生き物が
足の数を数えながら低く唸っている
指先弾いて終わった一日の
バスケットシューズの中に隠した言葉

生まれたことの無いあなたが スクラップ置き場で笑っている
風車小屋のわら屑から生まれるのよ なんて
主を忘れた野生の影が
街並みをどこまでも間延びさせていく

ページを繰って生まれた風が
オーブントースターの中で腐っていく
星空にくゆらせた指に
窓辺から飛び立とうとする若いシャツに

カンバスからこぼれたものたち
本当は絵が描けたら良かった
風船を渡す女の子の絵が
今はとても書きたい

靴箱の中で眠る 解き放たれた花束
限りない花弁はあまりに苦痛で
それでも 幸福だと
背中にぶつかった歌を齧る

花束を抱いた骸骨 肋骨の隙間
痩せこけた風が走り抜けていった
ジャンクドロップの色の一つ一つが
窓枠からこぼれはじめて

ロバがこっそり羽根を広げる夜更け
眠りをクロールする子ども達 部屋を誰かがノックする
ヘッドフォンを外してお気に入りの靴で
新しい歌が始まっている そこで ここで どこかで

文学極道

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