僕は君を愛したい。いや、それは願望かもしれないが、それでもそういう願望を抱いておくことは、つまり自己の内部に留保しておくことは、非常に大切な情操教育なのかもしれない。それは箱庭療法のように、僕の中に固まってしまった煮凝りのような、現代に対する虚無感に、稲妻のような亀裂を生じさせて、目に見えるものを、まったく別の次元に変えてしまう、ひとつの出会いだからだ。
君の足音が88光年彼方からひたひたと迫ってくるのが、僕には聴こえないが、その予感を大切にしたい。運命ってのは、羽音のようなかろやかさで、僕の中の自足したパラダイスを、『パラダイス千葉』に変えてくれるからだ。
『パラダイス千葉』には、23人のパーティーコンパニオンが在籍している。その中でもトップなのは、パピルコだろう。彼女の媚びは、世界コケテッシュ選手権、連続二位だ。それほどの媚びをもってしても、僕の中の軍艦マーチには浸透しないのだから、僕の中の肩こりはいつもサロンパスにまかせるはめになるのである。
「この前のデートは、どうだった」と訪ねてくる友人は、はるか遠くのケンタッキー州から店を構えてやってきたとあるチキンを売る飲食店で、アルバイトをしている書道五段のつわものだ。「全然、ダメだった。彼女は、僕のポッケの中に入っている、給料袋についた、ジャコウネコのよだれの跡しか興味がないからさ」彼に、僕は恥ずかしながらに答えるのだ。「そのジャコウネコは、どうしているんだい」ときいたので、「記憶の彼方へと飛翔したよ」と答えておいた。
僕はいつだって、君のことを予知している。どこかで、君の微笑が僕の心を水銀から、ダークマタ―にまで質量をレベルアップさせることを願っている。僕の先に待つのは、恐らく地獄のような天国だと思うのだ。半値になった神様が、冥界を案内してくれるだろう。そこにはブラックホールが、ビリヤードを楽しんでいるに決まっている。それは確実に、地獄にも似た天国なんだ。極楽の白い墓場から逃れるために、僕は地獄産の人参を鼻の先にぶらさげたオグリキャップになろう。
ひひん。
ひひひひひひひん。
そして、君は、僕に連番で、自分の全財産を賭けるのだ!1等は僕じゃないよ。僕はいつだって、2等なんだ!君は、僕を2等、そしてあいつを1等にするに決まっている。あいつの名前を教えてやっても良いが、それによって君の人生が変ってしまっても、俺は責任がもてないぞ!いいか、教えるぞ。あいつの名前はな。。。。
そう。
オグリキャップさ!!
そうやって、僕の中の僕はいつだって、栄養素のない苦い青汁のように、役に立たない自分の妄想を市中消化し続けるのさ。君の中の君は、ジャコウネコのような届かない額を明らかに高らかに天空に向けて、犬のような遠吠えを済ませてしまえば、満足なのだろう。そうやって、たどり着くのは、他でもない、あの場所で、天国のような地獄のような天国のような地獄のような天国のような地獄のような地獄のような天国のような地獄のような地獄のような天国のような地獄のような天国のような………。
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選出作品
作品 - 20060105_115_875p
- [佳] (無題) - tony (2006-01)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
(無題)
tony