ほどける栗色の巻き髪 舞い散る水の花しずく
もの静かなピアノで猫はかかとを小さく鳴らす
そして食卓からこぼれ落ちる白いハーブの一粒
窓の向こうへ ぼくらは庭を片足で飛び越え
れんが造りの街並みに坂道をくだってゆく
手のひらの小枝でいくつもの輪を躍らせながら
陽を眠らせ雨を降らせようとする夜のこどもたち
ぼくらの合図に彼らは一瞬で燃えるダイヤモンド
するとハープが母のようにやさしく鳴り渡った
たなびく風と風 ぼくらは楽園にそっと迷い込む
住人のねずみたちから甘いチーズをごちそうになり
貝殻のグラスで琥珀のぶどう酒を飲み干した
赤らむ夜空 筏にのって月の指揮者はやってくる
ぼくらはみなフルートやヴァイオリンを手に手に
奏ではじめる 風船のように頬を膨らませながら
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選出作品
作品 - 20051109_122_717p
- [佳] 饗宴 - 丘 光平 (2005-11)
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饗宴
丘 光平