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作品 - 20051031_926_682p

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朝の光の中へ

  丘 光平

私は立っている 夜と朝の波打ち際の
樹海の小さな家に倒れている
一本の老木よ

あなたの流すほんのわずかな熱いものを
あなたの羞恥と恐れとともに洗い流してくれるだろう
崩れた屋根から注がれる雨の光の中へ

そばで見届ける私は
かつて緑の陰るあなたに寄り添い苦しい胸を整えたあの男です
鮮やかすぎる真昼の月を浴びないように

そして
不平ひとつ漏らすことのないあなたの
硬くて薄いベッド 遠い故郷にひざまずくものたちにも似て
この褐色に湿る落ち葉という落ち葉は

やがて時は折れて
私があなたの少し乱れた胸の辺りに
あなたの節くれた手と手を重ね合わせたなら
ひとつの山脈が現れる朝の光の中へ

私は聞くだろう いっせいに立ち昇る
風の形をしたこどもたちを この谷という谷から 梢という梢から
羽ばたいてゆくきみたちは朝の光の中へ

文学極道

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