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作品 - 20051028_842_668p

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朝に満たない朝に

  丘 光平


空が不吉に破れてゆくのを聞いたことがあった
まだ朝に満たない朝に

私は知らない それがどうしてなのかを
しかし気づいている 
このすみれの咲く泉にも似てきりきりと澄みわたる場所に
冬の国があるということを 

そこでは
住人はみな延々と立っている 
高々とかかげた両手の器を凍らせ やがて出来上がるだろう 
樹氷の群れは

陽のかけらの数が足りないのか それとも
月の分け前をつかみ損ねてしまうのか  

いや彼らは
起こりうるすべてを引き止めようとする最後のくさびなのかも知れない
おとずれのない誰かを守り続けようとした墓標のように

そしていま
降りくだる霧雨はもの静かにその赤らみを増し
もはや遠く 
羽ばたきの定かでないあの白鳥たちの
足という足に焼きついた手形の答えはすべてこの私だ

文学極道

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