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作品 - 20051019_713_644p

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おしっこ

  一条


教会はおしっこで浸水しているのにオルガンを演奏する日曜日は消えなかった。ぼくは学友の傷ついたひざ小僧を手当てする遊びに興じ、突き当たりの三角公園にてアイスキャンディの溶ける甘い水溜りを作った。赤組は赤い帽子を目深に被っている。日当たりの悪いアパートに住む年老いた夫婦は倒壊したビルディングの残骸が地面を叩く音に、覚醒した、紫色の野菜を朗らかに齧りながら愉快に口笛を鳴らしていた。白い帽子を目深に被った白組はどうやら苦戦しているようだ。赤か白の子供たちが日射され、ばたばたと転倒する。ぼくは追いすがるトラックの車輪に轢断された、ハンドルを握りしめた、ついでに正確に乗算された円周率を誤解した。あらゆる走路は妨害されている。日当たりの悪いアパートの南側の窓に貼られたステッカーを剥がす時、ぼくの滑稽を遠望する馬が馬らしくステップした。ぼくは投げやりにアップルパイを焼いている。失禁しているぼくの近くで鞭はしなりながら、乳母が赤子をぐるぐる巻きにした。目深に被った赤か白の帽子からは黒煙が立ち、やがて子供たちは全員窒息死する、トラック野朗が乗り捨てたトラックは高速道路を快調に走り抜けている。あらゆる走路は妨害されているのに。倒壊したビルディングの付近では様々な格好にコスプレした年老いた夫婦の集団が互いのアイスキャンディを舐め合っている。世界は真暗闇だ。ぼくは赤いボールペンを分解し元通りに組み立ててみたが、どうにもハンドルが握れない。オルガンの鳴っている遠くの教会を浸水しているのはきっとぼくのおしっこに違いない。じょろじょろじょろじょろ。

文学極道

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