さがしているのか 鳥
空とわたしのあいだを
まわりつづける
羽のきしみ それを
かなしみと呼ぶのは
わたしが
陸に生きることを選んだから
やがて
陽をつつむ羽ばたきに
冬の声がにじむのは
わたしのなかで
水が水を追い越してゆくから
この
枯れたむらさきの手のひらで
鳥が終わる そのとき
地図に載らない
森という森に倒れるものたちから
いっせいに放たれる
弓矢よ
わたしのしらない
空の鍵をまわすためなら
幕をかけおろす
ばらの肌をつらぬいてゆけ
ひらかれてゆく
夜を生む夜のまぶたから
水は降りくだる ああ
森をのみこみ
わたしの呼吸を焼く それは
海 海とは
この星の感情なのだ と
わたしはわたしの
腕をおり足をきり
鳥の歌の名残でゆわえた
孤高のいかだとなって
もはや
水は水を
歌が歌をあやめることのない
風のみちびくところへ
船出する
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選出作品
作品 - 20050926_149_554p
- [佳] 枯れ木 - 丘 光平 (2005-09)
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枯れ木
丘 光平