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作品 - 20050822_405_418p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


せかいのはて

  ケムリ

いまここは世界のはてのアパート
みんなまた吊るされていったよ
夜になるとシャム猫がくるから
釣瓶おとしをずっと見ていた

ロシナンテ型永久機関の列車が
西空のむこうでカーブしていく
ほおずきくゆらせる煙をすいこんで
ここはいま世界のはて

動物ビスケット齧って夕食にしてたら
お隣さんがさんまを焼いている
手紙をはこんできた人たちが
みんな歩くことを忘れてしまったみたいに

ねこが眠るトタン屋根みたいな街で
青インク沁みる夕暮れのふちで
ことばをさがすことに疲れた人たちが
土なべで焦げるご飯のにおいがする

買ったばかりの自転車で河川敷を走っていた
光る石をポケットに入れて
カレーの匂いのする軒下を走り抜けた
ここはいま世界のはて

塀の上を両手ひろげてあるく影が
道に忘れられたかたっぽのサンダルが
街並みに汽笛をひびかせた
ここはいま世界のはて

文学極道

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