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作品 - 20050729_043_356p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


青い燐光を抱き

  望月悠

青空をみあげると
猫の晴れ着がふんわりとよせられて
階下の乳母が手をうごめかす
光線の薔薇のふとしたやわらかさに
水をしぼりながら
猫の晴れ着が乳母の腰肩をなでてゆく
死にかけの夢にふれて


青い星から燐光が散り
水面のなめらかな海綿質を
なでるように逃げとってゆく
夜空のふれぐあいを確かめると
光りながら沿岸を疾走する
猫の晴れ着が発光をはじめ
美しい燐粉がきらめくと
闇のしろさを強くしてゆく

磨かれてゆけ
あるいは
私たちの

草たちの踏み分けを始点とした
もろみのやわらかさに
磨かれてゆけ
夜空の白さは依然として間近だ
ふみこんだ音楽に踊りながら
溶けそうな白波に
ふみ足をかぎとって落ち果ててゆく

するどく光輝く彼方から
水のよせかけをしめらせて冷たくしてゆく
星の反射光を水に汲みとり
私たちの輝きは全身へと及ぶ
夢の中で猫の晴れ着をきちんときこなし
浮世の白波に頬をよせて
いましも
青い星の燐光が沿岸から
私へと寄せてくる

やはり
磨かれてゆけ
あるいは
私たちの

文学極道

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