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作品 - 20050721_952_342p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


♂ゴール記念日

  ミドリ



ブラウスのボタンをはめながら
舞ちゃんはいった
「コンドーム付けてなかったでしょ」

とてもわかりやすく 僕はうろたえた
さっきまでの幸福感は
まるでモネの静物画のように 静止している

舞ちゃんお目は怖かった
いつものような
愛にパトスを送る
恋愛のフィールドに
ファンタジーを与える
あの優しい目ではなかった

それでも
結婚とか どうなのよとか
そのへんのややこしい事情を
持ちださないのが
舞ちゃんの性格だ

とりあえず僕は白いブリーフをもち上げ
気をとり直して
お茶のむ?
なんて言ってみるが
まるでバルチック艦隊のように
横っ面の銃砲が
こちらを向いているのがわかる

あーそうか
やっぱコーラか
普段は反米反帝である僕も
こういう時には
合衆国の偉大なカルチャーの力を借りる


夕べ舞ちゃんと2週間ぶりに 飲みに行った
仕事がうまくいっていないだの
金欠だの
みっともない愚痴を
ダラダラ言っていた気がする

しかしホテルにチェックインしたのが
10時前だとすれば
舞ちゃんにはまだ
終電というものがあったはずだ
最初から僕とえっちする気で来たのか

とにかくそれが
付き合いはじめて4ヶ月目の
僕らの♂ゴール記念日だった

ホテルで向かえた朝
すっぴんで寝ている舞ちゃんの浴衣

ウーム

僕はタバコを咥え
コトを終えた狼らしく
深々と煙たいものを肺に送りこむ

しかしだ
子供ができたらどうするんだ?

「それが未来だとは思えない」と
舞ちゃんが起きてきたら
泣いてみようか
それとも今度はゴムをしっかり付けて

ダメ押しのゴールを
舞ちゃんに決めようか

文学極道

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