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作品 - 20050718_903_333p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


海と山と土と

  萌黄

海の男が陸に上がる時 
波はうねり高く
勇魚の鰭 甲板に潮打ち上げ
黒潮は流れ 魚群はるか望み
打ち込む銛は
張りつめたまなざしの先で
錆びつく予感につめたく震撼する
永遠に流れ止まない血の匂いは
やがて赤黒い汚点となり
かつて生を営んだものの
殺戮と転生のあかしとして
男の脳裏に
深いしわを刻むだろう

山の男が里に下るとき
風が吹き荒れ
大鷲の翼 山肌に烈風吹きつけ
怜羊のうるんだ眼差し 断崖にたたずみ
ねらい定める鉄砲は
凍てつくまなじりの先で
木々の梢を揺らしながら咆哮する
永遠に流れ流れる血潮は
雪の上に鮮やかに刻印され
生けるものが
生けるものへと手渡しされてゆく運命を
男の心に
今更のように刻みつけるだろう

海の男と山の男が
酒くみかわす
年々細くなってゆく赤銅色の腕を
さすりながら
大地を耕し 種をまき
命はぐくんでゆく喜びを
言葉少なに語り合う
太陽はすっかり黒く輪郭となってしまった山のむこう
から昇ってゆき
今はおだやかに凪ぐ海の涯てへと沈んでゆく
太陽と土と水と
彼らの命もまた 長くない日に
土に還る

文学極道

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