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作品 - 20050702_759_293p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


ヘッドフォン・チャイルド

  ケムリ

鼓膜を針が貫いた 部屋の隅っこは膨張していく
矯正器具つきの歯で笑う君が好き
ヘッドフォンは外さないから ハリネズミは今日も転がってく
そんなことはみんなわかってるよ 女の子が見せ付ける心の傷みたいに

あんなに待ち望んだ消えない虹がかかったのに
立ちすくんだままチューインガム噛んでた
歩道橋の淵から女の子は泳いで行った
ヘッドフォンチャイルド テレビの液晶を歩くよ

迷子の影が焼きついていく
喫煙所で孤独が層を成していく
なんで飛ばないの? 不思議な言葉は金属質の匂い
ヘッドフォンチャイルド マイナーコードの隙間で膝を抱いてる

蝶番が落っこちたから 最初の森へ帰りたがってる
七つ足の古代の生き物みたいに 
明日にはきっと高潮が来て みんな同じシャツを着たまま
窓を開けたら瞼が溶ける夜 ハリネズミは膨張を続ける

鋼鉄の雨が降る海でもがいてた 原初の繋がりを求めて
両手を広げたら 小さな心臓が軋む音がした
そしてみんな息をする 脳を貫いた針の痛みを知って
ヘッドフォンチャイルド 並木道は空へ続いてく

みんな路上に張り付いたまま
ヘッドホンを耳に当てて 手首の傷で繋がろうとしてた
世界が終わる間際にしか生まれない子どもがきっといるんだ
ヘッドフォンチャイルド 泣きながら歩くよ

天井から落っこちてくる爆弾の空想
青空にへばりついたトカゲみたいに
喫煙所の無言は手を繋ぐ僕らの暗号
ヘッドフォンチャイルド 循環コードから落っこちていく

* THE BACK HORN 「ヘッドフォンチルドレン」へのオマージュです。

文学極道

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