たわいもない言葉が
殺意にかわる
ドアのむこうは
いきなり崖で
おちていった悲鳴は
だれのものだったのか
あいかわらず世界は美しく
それに見合うだけ酷薄だと
きみはペーパーナイフで
ひとさし指の皮をリンゴみたいに剥いて
笑っている
血が流れでないのは
時間を所有してないから
痛いのはきみではなく
愛を語るのも へどを吐くのも
詩を 書かざるを得ないのも
事件の核心を
ドアのむこうに
突きおとした
ぼくのほうなんだ
選出作品
ドアの断崖
みつべえ
たわいもない言葉が
殺意にかわる
ドアのむこうは
いきなり崖で
おちていった悲鳴は
だれのものだったのか
あいかわらず世界は美しく
それに見合うだけ酷薄だと
きみはペーパーナイフで
ひとさし指の皮をリンゴみたいに剥いて
笑っている
血が流れでないのは
時間を所有してないから
痛いのはきみではなく
愛を語るのも へどを吐くのも
詩を 書かざるを得ないのも
事件の核心を
ドアのむこうに
突きおとした
ぼくのほうなんだ
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