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作品 - 20050214_506_72p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


ダンボール二十五箱分

  佐藤yuupopic

厚手のシャツやレコード盤と、共に
折りたたんでしまわれていく
日々

昭和アパート、の二階
肉屋のコロッケ
常食
窓から覗く黒い川
昼なお暗い
俺の部屋

考えるな
ガムテープ三十センチ余りで
びーッ、
と閉じてしまえ
全部。


掃除機をかけるたび現れる
ぎくり、と刺す
亡霊
(ちぐはぐな、ピアス)

(ゆるんだ、アメリカピン)

(甘く、香る瓶)

(髪のように長い、もの)
お前たちはもう死んだ、
いらない

潰れた店の跡 更地、元の光景はおぼろ、記憶の曖昧
流れて寄せて
俺の事実も
波が引く如く消えて往くだろう、
半月もすれば


この町が
俺を忘れ去る前に
爪跡ひとつ残さず
消えてやるのだ

最後に鍵をかちり、
と云わせたら
さらば、
汽笛上げる間もなく
出て往くつもりだ

たったダンボール二十五箱分の
俺は。

文学極道

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