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作品 - 20041227_126_21p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


夜明け

  守り手

水平線から真上の空へ
拡散した流星が逆巻いて
耳鳴りが垂直に降下していく
それは流星の核である小さな鈴音の軌跡

波をくぐり水跳ねて海を渡り裂く風
鈴音をさらい陸地を目指すさらにはその先にある都市へと
切る水に鉄錆びた旧夜の風景たちは眼を剥き
一斉に風の飛沫を振り返る

轟音は誰の眠りも覚まさない
街は保っていられる限りの輪郭線を残すだけ
風は疾駆する 風は呼ぶ 風が声を持つ
鈴音は少女のように鳴りながら
はしゃぎまわって笑った

星の落ちた丘がある
鈴音を乗せて風は向かう
最も高い場所に少女が立つ
鈴音の到着を待っているのだ
少女は水牛の頭骨を抱え上げている
水牛の虚ろが街の全景を舐めている

破裂そして破壊そして そして
鈴音は加速するたび剥がれ落ちていく風景に怯え涙が止まらない
呼ぶことをやめる はしゃぐこともやめる
けれど
疾駆する風

衝突の刹那には
揺れる惑星を受け止める立つ少女の細腕が軋む

星の落ちた丘で
少女の抱えた頭骨に全ては収まっていく
収縮する光があり風があり都市がある
ふたりの少女は出会い
出会うようにして別れた

立つ少女は眼前の水平線へ
いまかがやくものを手放す

鈴音は
頭骨のなかでは鳴らない
ただ胎動があるだけで
彼方へと望むのは
いつか流星になること

* 投稿時の名前は「ちづさ守り」

文学極道

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