一日目
妊婦の腹が引き裂かれ、光が漏れた。多くの人たちがそれを見つめ。頭のおかしくなった、アリス気取りがこけて階段で頭を強く打ったまま頭蓋骨が割れまた光が漏れる。光、光、と、数を数える。あちこちで、誰も彼もが腸を引き裂いたり、頭を打ちつけながら光が漏れることを望んでいる。
そして静かになった。後には、腐乱していない新しい死体ばかりが並び。すべての死体からは光が漏れている。眼球を失った空洞からも、引き裂かれた腹や頭からも、僕はこういう光景の中にいるのが一番落ち着く、と、思うと、背後から誰かに強く殴られる。何度も殴られていく内に、僕の頭からも光が漏れ始める。あ、光、だと、また光の数が増えたと喜んでみるが鈍い鈍器の音が止まらない。それが嬉しかった。
二日目
文字の読めない女の子が物語を求めて歩いているのを見る。彼女は、文字が読めない、ことを物語るための物語がほしいという。そんな物語はもうこの世にはないよ、と告げる。それでも、彼女はほしい、といい、僕の後ろでニヤニヤ笑っていた男がその女の子に物語を教えてあげよう、といって、彼女に「不幸」や「悲惨」という言葉を教えては書かせる。それを見て周りの人々が、手をたたき始めて次に「誠実」や「切実」の言葉を教える。これで物語を作れるだろう、と男が笑って言う。周りの人々は彼女が男に習った単語を使って物語を物語るのを聞いてなき始める。男は、それを見て、周りの泣いている者達を全員殴り始める。お前らはいつだってこんな物語がほしくて、ずっと飢えていたんだろう、と、男が笑いながら、自分にアルコールをかけてライターをつける。燃える男が大きな声で言う。「これで、さらに物語がつくれるだろう」と言って。文字の読めない少女は男に習った言葉で男の物語を作る。そして、まるで男などいなかったかのように、皆その話を聞いて泣き始める。
三日目
掟の門をくぐることができない。門の内側にいる人々の光が見える。もうすでに、葡萄は破裂して、流れ出ているばかりだと言うのに、雪の中を裸足で踊る。踊る人たちの間から喜びばかりがもれて、楽しい、と、掟が降りてくる。掟が、門をくぐる。次から次へと倒れていくのは人ではなくて、葡萄の木だと気づいたとき、街路樹には人々が実り。口々に、収穫を待っている、と微笑んでいる。
渋谷、新宿、と、籠を背負って収穫していく。笑顔で挨拶しながら、都市の気候は温暖だから、と、隣の女性が言う。駅の構内、列車に乗る人々の靴があさってには売り払われ、誰もがもう踊らなくていいと、彼女が囁いて、街路樹に実った一人の男性が微笑みながら収穫を待っている。手を差し出して、男を摘む。
四日目
肌が焼けて、白くは無かった。蛙が実をむき、秋が焦げる。鉄道沿いに並んだ花火。笑い焦げる人。ここからは、もうどうでもよくなった、と、思いながらテレビが投げつけられ、次に、燃やされた服が飛んでくる。偽りでも、物語がほしい、と言った少女から、ずっと遠くに来た気がする。すがすがさしさばかりが残り、後は晴れ渡る何かが僕を押し広げる。唇は石灰を含み、体が螺旋上に翻る。裂けた、と、声がして、光が漏れる。
ブロードウェイで踊るタップダンスのことをなぜか思い浮かべる。ハイヒールが蹴りあげられて、遠くに飛んでいったのを思い出したり、しながら、物語を一つ残らず世界の外へ追いやって、ようやくわけもわからないなにかが飛び込んできてから窓を開く。
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20090902_543_3760p
- 19 :
>残念さんさん
流石の筆力、という言い方は好まれないかもしれませんが、まずはそう言わせてください。
初め取引されるものでしかなかった物語が、内在出来なくなり、どうして内在出来ないのかを、自ら披露していくようです。
この詩を読む限り、いかいかさんは物語を愛しておられるのだろう、と思います。
内在出来ない物語への連絡を得ることが出来るということは俺などには救いですが、優れた紡ぎ手を待つか自らの内外に作り上げるかのどちらかでしか物語への連絡は果たせないのではないかと思っています。
俺は現在おそらく作中の少女同様、思いのままの物語の取引に執着する立場ですが、物語を紡ぐ力や、取引そのものを進める力や、そういった力を得る手段や、そういう風な「物語」を扱う様々な主体や手付きについて考えさせられましたよ。 ('09/09/03 22:28:23 *1)
- はなび :
残念さんの作品は文字から飛躍して、違う表現媒体をつかう方法も、あるんじゃないかと、よく思うんだけれど。 ('09/09/04 00:17:14)
- うんざりさん :
ただただつまらない ('09/09/04 00:19:02)
- 派生 :
二日目の「男」は、ケムリそのものだと思った。 ('09/09/04 03:25:19)
- いかいか :
派生
ばかじゃないか。彼も男の周りで、物語を聞く誰かだろうよ。誰も燃える男にはなれねーよ。そうだな紛争地帯でもいけば運良くばそういう人がみれるかもしれないけど、そういう読み方が結局お前らの文芸部内でしか循環しない切実や誠実の立ち居位置、位置読みゲームのお涙頂戴物語の暴露そのものに等しいだろうよ。
とりあえず、いろいろむかつく。極道がどうなるとかもうしらん。お前らむかつくら批判する。フォーラムのほうに少し投稿するわ。 ('09/09/04 12:04:55)
- いかいか :
あるぇ。フォーラムに書き込めないよママーン。ということで、もう俺が悪いということで、俺がとりあえず出てこないほうがいいんだと思うので、最悪でも今年中は投稿したりしない。でも、とてもいろいろむかつくので、blogでうらみつらみをかきつらねます。 ('09/09/04 12:52:31)
- 派生 :
いかいか
ばかなのは承知の上でのレスなんだが。
紛争地域ね。わざわざそんな場所に赴かなくても居る所には居ると信じている。
それに、語るに落ちてばかを曝してるのはあんたも同じだ。
なにが、もう俺が悪いということで、だ。
あんたもしっかりそのお涙頂戴物語の役に成り下がろうとしてるじゃないか。情けない。
迎合なんてせんでいい。つまらないものは、所詮いくら捏ね上げたってつまらないんだから。 ('09/09/04 15:43:09)
- いかいか :
ばかがw俺が本当に自分が悪いと思ってるわけねーだろうwこうやれば、さらに釣れる奴がいて、そいつらをとりあえず叩けばすむでしょ。こんなことばかり思いつく俺はどこまで嫌味なやつかと思うぜ。それに、そろそろネタ切れ感はあるしね。蓄積していかないと続かないわけよ。世界童話全集を馬鹿読みしたストックも切れたし、今までの読書経験のストックも切れつつある。というか、すでに切れてる中で書いていたので、補給しねぇともう何もでませんよコノヤロウ状態ですが何か。とりあえず、積読の小説がバベルの塔の様になりつつあるから消化したいしね。
ただ、二日目の男は彼ではないよ。間違いなくね。しいていうなら、俺だ!俺のモットーは吉本隆明の観客席にいながら観客席の中で暴れ始め、いつのまにか目の前の舞台にいる人物にも殴りかかるというスタイルなので、今回もblogや掲示板で、さようならケムリ君、君の批評の質や内容、ネット上における文体は君の肉体そのものだけれども、それには一切触れずに、とりあえず、その「態度」だけ賞賛するよ、という観客さんも殴ってしまうかと思ったわけですよ。
誰か語ってやれよ。さようなら、ありがとうというなら、その態度よりも、彼の批評を、彼のテクストを語ってやれよ。まぁ、どうせ、お前らは所詮、語れるほど、真摯に向き合わずに、ただただモシャモシャ消費していただけでしょうね、と。ざまーみやがれ屑ども、という最後の嘲笑ですよ。ということで、そういうものが読めることを期待して、ニヤニヤしながら充電しようかなとおもっとるわけです。 ('09/09/04 16:30:08)
- いかいか :
まぁ、何か個人的にいいたい人はblogのメッセアカウントにメールするから、メッセに登録してください。あんまりinしないけど、とりあえずそっちで対応しますよん。後、上記発言に対する反論、批判、文句がある場合もblogのメアドにて対応しますのでそちらに、ここでやると迷惑でしょうからね。じゃ、そういうことでよろしこ。 ('09/09/04 16:36:35)
- コントラ :
たしかにフォーラムはわかりにくいので、もっと使いやすい掲示板を設置できないかとスタッフのほうで検討中です。しばらくおまちください。 ('09/09/05 00:45:18)
- koe :
一日目、ホドロフスキー監督でも映像化は不可能でしょう。非常に文学的な象徴「光」、これは文字でしか表せない。非常に文学的であるために。二日目と四日目は物語の構造の説明だが、一日目と三日目は物語のない単なる光景の描写でその回答になっている。悲惨というか終わっているというか、確かにここには物語など入り込む余地はないと言えるほどの情感と美しく狂った世界が見える。淡々と語りながらこれだけ独特に書ける人はいないと思う。しかし、前夜なのになぜ四日も続くのだろう、、、?そりゃ、永久にとどかないからさ。ということなのでしょう。 ('09/09/05 21:39:03)
- コントラ :
三連目、少し別の可能性を感じました。いかいかさんの作品は古典的な装いのものが多いですが、何かそこから飛び出て読み手をアクチュアルな空間に現前させる力が、ここに顔をのぞかせている気がします。都市論という言葉は嫌いですが、そんな括りで語られるような方向へ、少し行ってみても面白いんじゃないかと。何年かまえの「野原」というあなたの作品に、ちょっとだけそんなセンスを感じたことを思い出しました。
内容、筆力ともにいまのところ言うことはありません。 ('09/09/07 02:00:20)