真夜中、夜の川
川面に突き出た瀬岩を
躱しかわしながら
ぼくの死体が流れていく
足裏をくすぐる魚たち
手に、肩に、脇に、背に、尻に
触れては離れ、触れては離れていく
この川に流れるものたち
朽ち木につつかれて、枯れ葉を追い
つぎからつぎに石橋の下を潜り抜けていく
冷たくなったぼくの死体よ
木の切れ端に、枯れ草、枯れ葉が
水屑に、芥に、縺れほつれしながら、流れていく
冷たくなったぼくの死体が、流れていく
ぼくの死体よ
絶え間なく流れる水
岸辺に、瀬に、囀る水の流れ
うねり紆りしながら
月の光を翻し、星の光をひるがえし
流れに流れていく、水の流れ
水面に繋がれたさまざまな光の点綴が
ぼくの目を弄しながら流れていく
水面に靡く、窓明かり、軒灯り、街灯の
滲み煌く輝き、ほくる眺め
揺蕩う、映し身
ぼくの死体よ
冷たくなったぼくの死体よ
おまえを追って
いまひとり
ぼくはまた葵橋の上から身を投げた
躱しかわしながら かわしかわしながら
水屑に、芥に、縺れほつれ みくずに、あくたに、もつれほつれ
囀る さえずる
うねり紆りしながら うねりくねりしながら
点綴 てんてつ
靡く なびく
軒灯り のきあかり
揺蕩う たゆたう
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20190501_795_11194p
- 山人 :
水面に、のあとの文字化けが気になりますが、やはりこの板の書き手の中では抜けていますね。
読んで良かったと思える作品でした。濃いです。 ('19/05/01 16:10:07)
- イロキセイゴ :
ぼくの死体よと言った客観視。ぼくはまた葵橋から身を投げる。輪廻転生の思想ではないかもしれませんが、自己の魂魄を自覚している者の詩だと思いました。 ('19/05/01 20:20:42)
- 田中宏輔 :
山人さんへ
文字化けを指摘くださって、ありがとうございます。直しました。「うねり」という、最初の2文字の漢字部分も文字化けしてしまったので、仮名にしました。掲示板のつくりが、ぼくの書く作品の、ある意味、ひとつの限界点かなと思いました。 ('19/05/02 00:52:43)
- 田中宏輔 :
イロキセイゴさんへ
お読みくださり、ありがとうございました。この作品は、20代の後半、いまから30年ほどむかしに書いたものでした。いまのぼくでは、圧縮できないなにかを持っているような気がします。 ('19/05/02 00:56:05)
- 田中宏輔 :
ユリイカの一九九〇年の三月号の投稿欄に、大岡信さんに選ばれたときの作品だったと思います。 ('19/05/02 12:38:46 *2)
- アラメルモ :
言い方はよくないかも知れませんが、言葉の弄り方が青臭いのでこれは若いときの作品だろう。というのは大凡察しがつきます。しかし何故?どうして新しい作品を掲載してみようなどとは思われないのか。試みてみたいこともお有りでしょうに。自信がない、ということはもちろんないでしょう。どうなんでしょうね。作者の考えがわからない。 ('19/05/02 16:14:42 *2)
- 田中宏輔 :
古い作品で、ネットにでていないものが大量にあるため、そうそう新作をつくらなくなりました。雑誌などの依頼があったときにのみ、いまは新作をつくっています。 ('19/05/02 16:19:53)
- アラメルモ :
うむ、以前の作品でもそれなりに佳いモノだからよいのですが、あなたには是非チャレンジしたものを掲載していただきたいですね。特にあなたの作品の多くに接してきた方々。皆さんそう思われているのではないかな。とも。 ('19/05/02 16:40:35)
- 東 :
葵橋か。懐かしいですね。
京大に通っていたころ、葵橋東詰近くに住んでいました。
読んで賀茂川の浅い流れを思い出しました。
葵橋がこのような橋上幻想を誘発する場所とは!
そういえばそろそろ葵祭の季節ですね。 ('19/05/03 13:27:58)
- 田中宏輔 :
葵橋のたもとに葵公園というのがあって、そこは夜になるとゲイが集まる有名な発展場でした。ぼくもそこで青春を過ごしました。 ('19/05/03 15:36:18)
- 田中宏輔 :
アラメルモさん、ぼくの作品に二度とコメントしないと何度も書きながら、またコメントしてるけれど、ぼくの作品をちゃんと読んだ形跡はないし、コメントも、ただ作品を卑しめてやろうとして書いてるようなものばかりだし、才能がないものの嫉妬だろうけれど、ほんとに醜い。いやしい根性が丸出しだね。二度とぼくの作品にはコメントするなよと言いたい。記憶消失じゃなかったら、自分の言葉くらい覚えておきなよ。 ('19/05/04 15:12:59)
- アラメルモ :
?。なんつーか、時間が経って読み返したらムカムカとメラニン色素も濃くなってくるお方なのでしょうか。いつもそのように吐き気を返される気がいたしておりますが、他意はございません。それはお金と名声のためですか?なんて貴殿の深層にまで口を挟む礼儀知らずで野暮な言い掛かりの一言も書き込んではおりませんし、作品を卑しめるつもりは毛頭あたまからもございません(事実佳いと評価しているではありませんか)それはお読みになればわかることでしょうに。つまりは貴方様の被害者意識がそのような妄想を創り出しているのでございますよ。悪しからず。 ('19/05/04 15:30:45 *2)
- 黒羽 黎斗 :
全て死んでいるのに活き活きとした詩文だと思いました。足りないような僕の頭でも情景を描かせる手腕は素晴らしいと思います。 ('19/05/04 21:40:06)
- 玄こう :
葵橋、あの辺りの界隈はよく散歩に行きますよ、
葵の名の音と似ていて、詩の青くささを感じたけど、
橋を書かれる詩はけっこう好きで、読ませてもらいました。
自分の生まれた故郷の詩人さんがいい橋の詩を書いててね、も死んじゃったけど、その息子は歯科医で、詩界?死界 歯並びを矯正するブリッジ、その歯科医に子どもの頃通ったけど、また、いつかその人の詩集あげるわ
とりとめのないレスで失礼つかまつりました。 ('19/05/04 22:15:06 *2)
- 田中宏輔 :
黒羽 黎斗さんへ
お読みくださり、ありがとうございました。気に入っていただけたようで、ぼくもうれしいです。 ('19/05/05 01:04:23)
- 田中宏輔 :
玄こうさんへ
お読みくださり、ありがとうございました。『橋』といえば、まず、アメリカのゲイの詩人の、ハート・クレインを思い出します。『橋』は、すばらしい詩でした。原文も読んで、感想をどこかに書いたことがありました。全詩集を持っている10人ばかりの外国の詩人のうちのひとりです。 ('19/05/05 01:11:04)