仄青い戦火を掌握に砕き
ながら
帰らずとした地表を幾度も
ひきかえした、十八年の
冷血が通いゆく次第に
別れのように忘却へ歩んでは
ふりかえると、きみは生まれた
「重なりあえない地域だけ、沈黙になる」
ささやいては
聞こえない
……………
(…………………………)
メトロノームの脈拍がとまった
静粛に付き添い、階段を降り
「かなしくなるから
思い出はつくらない」
ちいさく呟く、その声域から
ひとりのなまえが失われた
秋、
落ちこぼれた葉の鬱積に
みずからを美しく崩壊した
……………
(……………)
秋を見殺し、冬、そして
「さよなら」の響きを尋ねて
何度もここで巡り逢った
たとえば橋上の途中で
夕暮れに泣いている、仄めく姿があるとして
懐かしく肩を抱きしめるものは
望むだろうか
わたくしを
いいえ
……………
(……、…………、………──)
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- [佳] 心象III (2018-09)
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