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リーフィア

選出作品 (投稿日時順 / 全1作)

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スプリング・エフェメラル

  リーフィア


はなかんむり
たくさんの瞳が手折られ
編みこまれている
抗うことのできない指を
湿った土のなかに埋め
幾つかのタームで
まじないをかけた


ぼくは小さく丸く
なってここは
どこだろう暗くて
サーカリズム
ほんとうの照度は
円を描く腕に
根こそぎ奪われてしまった
流れていく心音に
耳を澄ませながら
充たされる頃には
深く眠りこんでいる


(つめたい)
あかぎれだらけの
指さきと
摘みとられた花弁
複眼は温度を越えて
水をくぐる
暗闇で手足を伸ばす
弱い羽が
開く速さで
過ぎ去っていく
蜂の巣状の季節


不揃いなかたちを湛え
摘みほろぼされた花弁が
敷きつめられた土のなか
あわい日差しを浴び
目覚めさせられていくぼくを
殺めていくひとの群れ
織り込まれた瞳
ひかりの熱で孕んだ
つちを口に含んで
真水をください
ウスバカゲロウの花、
咲いて
(気が付くと消えた)


(ひかり)
ひとの隙間から掠め
乾いた喉を
暗がりに押しつけた
これがひかりだ
薄羽がふるえ
か細い熱の喘ぎから
ぼくが
負わされた、
はなかんむり
投げ込まれた
音階に
垂直に影が落ち
足下から崩れていく


指さきが水脈を押さえ
羽ばたきが弦を弾く
サーカリズム
ひかりある朝と
ひらかれた季節に
追い立てられるようにして
羽をひろげた
ウスバカゲロウの花、
真水をください
殺められた人の群れ
たくさんの瞳を列べる
眠ることをしらないひかりと
眠るべく奏でられた
子守歌
たくさんの墓標が
ひかりのなかに群生し
過ぎていく朝の底で
ぼくだけが束の間に
眠る

文学極道

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