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ゆい

選出作品 (投稿日時順 / 全1作)

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被視

  ゆい

化膿した傷口にかけた
オキシドールの泡

今朝会った老猫の目を
傷の中に見つけて

妙に納得した、これが君の言う小海の猫だと

どんな小さな水たまりにも
小海の猫がいると言う君、
(と目の中の猫)

「わたしは何時もあなたを見ていますから安心していらしてね。そう、あなたの体液でも何処でもこの目を探して。ゼラチン質な液体だったら尚いいの、どうぶつ性の、あの蛋白質の生々しい臭いが特に好きなの。人はコラーゲンで形成、されていると聞きました。ふるふるとした動物の液体を食べなさい。大丈夫、あなたはいつも守られています。」(と目の中の猫)


僕の母親は
猫の目をしていた
舌の形がこわくて
口元を直視できなかった

僕は包帯で傷口を塞ぐ
傷を増やしてはいけない
傷口は夜、光る

文学極道

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