洋館の屋上は
ふらつく魂で覆われる
錆びつく小楢の関節人形
突き立てた日本刀で
耳鳴りを吹かす
青ざめた
画鋲の自由研究
再提出した鮫色のカーディガンを羽織り
職員室の引き戸を閉める
淡々と
火花を鼻水のように垂らし、
煌々と、赤黒く炭に塗れた地面へ湧き上がる
歪んだ水ぶくれは
群れをなして沼の視線を空へ逃した
滑りのある、しぶきを巻き散らして
羽の折れた熱帯魚が
でろでろに膨れる
飛散した、校舎裏に伸びる夏の影が
氷山の一角に彷徨い始めて
選出作品
作品 - 20200910_846_12105p
- [優] 一杯の氷 - 屑張 (2020-09)
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一杯の氷
屑張