#目次

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屑張

選出作品 (投稿日時順 / 全9作)

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


いつも。あの人。向こう側にすわってる。

  屑張

いつも。あの人。向こう側にすわってる。ルノアールで、紙ナプキンが、エプロンにかかり、doorがひらいたら、きっと、紅茶が開いて

おちたの。泣きながら。亡骸。ひろいあつめてさ。服に埋めたの。泣き柄。某国のアリスは不思議ではない。のに、ついてるくるシーツの皺。シーチキンを卵に詰めたら。

いま、庭には、桜が咲いてます。だから、そう、いつもの、窓から、お団子頭の、扉。矢尻は床に転がって、血の着いた、線引きを孕んだ。あの人。は。どこでしょうか?

ルノアールが、烏龍茶を温めて、チンしたから、そして、生まれた、韻律、は空想より美しくて、服に埋めたら、宝石から、涙が、零れだした


火は鎮むにつれ饗宴になり

  屑張





*遅延した、夕方の車内で

田舎を横断するスカイライナー。カラカラカラ。白い風車が輪る、空耳を正確に打ち込む趣味へ没頭すると、町の先輩が正しい唇の使い方を教えてくれた。ぶ厚い骨の皮が剥がれて、食物繊維みたいな、感触の糸が見えたら、もう不思議な光は消えているね、人間は、いくつまで洋服に包まれていれば





*リン酸ガムシロップ

ほらほら。投げるためのブーケ。火は、再び開かれ、誰だかよくわからないほね。割れた光は、死化粧された、星空をあや取りする。白銀の東京タワー。建立して? まだ骨組みの金閣寺を放火するまで、自我を保ったわたし、を、もやしてしまったら、もう、どうしようもなくなってしまうの、

でも、

本当は、

あの中で、

何があったの?

ききたい?

...ええ、

おしえてあげない





*老人

ピアノ線は張り巡らされた
この大東京の空に

電線が消えていくのを
リアルタイムで見ていた
空襲警報
若者達は空を見上げる
スマートフォンは使えなくなった
ひたすら映写機を回して。
街を写す余裕はいくらでもあった
煤けたポロライドカメラを右手に。

老人は、
覚えたてのハーブを吸うことで牢屋に落とされた
いくつもの都市が
古い馬車の処理に困った末
貴重なガソリンを振りかけて
燃やしてしまった

不釣り合いな十字架の墓が並ぶ
荒川の河川敷に広がる
草野球グラウンド・ゼロ


犯共

  屑張

これは夢じゃないんだけど、深い臙脂色のハンモックに埋葬された猩々の視線が羊羹色の窓から垂れていたから蝋燭ちらつかせて起き抜けの肉声から怪獣のソフビ臭がして発火した職員室から回収された無菌豚を肉厚なアマゾンのジャングルでLARKデザインのバイアグラくわばらくわばらは帰化して相模大野で乗り換えた終点は腹上死、転がるゲートボール場に沢山あったね拍手と握手が皺くちゃになくなるまで祈りを聴かせてくれる電話線に並びたくないけど飛ぶしかない破り捨てた五線譜を開かないと切りつけるから手紙をかかなきゃ覚えられるために150円のハンバーガーを交差点でぶちまけたら爪きりから燃える痰が飛び交う誕生日になまくらなピアノを弾いたんだけど壊れかけた懐かしいアニメのオルゴールの方がすっと悲しくなったので放火したよ綺麗に燃えたのに時計の形はずっと満月そっと崩れた方が良いのに幼児の鳴き声はある程度したら泣きやめよ泣きやめったら


定時連絡

  屑張




1

あの紙芝居、全部暗記してるんだって。すごいね。簡単な「さんすう」もできないもんね「私」達。急にどうしたの? この世に生きてる「価値」、なくない。えっ? なくない? 急にどしたん()? 「価値」ってなに? えっ? わからない? 笑。そんなもの、どこにもないってことだよ。なにそれ。えっと、「生産性がない」みたいな話やめない? えっ? なにそれ? えっ? えっ? えっ? あっ、やめよ、このはなし、やめない? だれが「よろこぶ」の?えっ? 「よろこば」ないの? えっ? どっち? どっちなんだよ? えっ? どっちでもないの? えっ、じゃあ、なんなの? えっ、えっ、えっと...じゃあ、負けた方が負けってことで、ちっとも役に立たない役人風情が




2

ありえないよね。ほんとにありえない。マジで引いた。ほんとに何が楽しいんだろうね。ほんと馬鹿。だから早く来いよ馬鹿。




3

・4/4

今日は公園で散歩した。パンクズ散らしてやったら、生簀に閉じ込められた鯛の群れが、荒れたように死体を食べてるから退屈。一生、鳩みたいに暮らせればよかったんだけど。いやいや土鳩も楽じゃないんだよ。まったく、脳みそなんてあるからいけないんだわ。卑屈。億劫。臆病なオオカミでありたい。ウサギの方がましかな? それは、ウサギに失礼。オオカミにも失礼。謝って。いいから謝って。適当に重ねて、すいませんて謝りなさい。生きているだけなのに、全ての合わせ鏡みたいに使われるのなんてかわいそう。〜みたい。なんて適当に引き合いに出さない方がいいよ。太陽と月なんて、何回殺されたとおもってんの? じゃあ、何を信じればいいんでしょうか? だって! 空とか、雲とか、えーと後は、割り切って飼い主になればいいんだよ。ただし、最後までちゃんと食べること。

ps. 生きてるって感じがしたっていう感想を書いて提出!月末までに!!




4

あたしっていうだけでおんなになれるならあたしなんていらないわけだけど結果的にあたしって言い方は必要だし「僕は」って言い方もひつようだよねってかパンツってめんどくさいよね菌が繁栄しちゃうしねつーかだったら線香でもなんでも焚けばいいんだよ。




5

三十路になると死語が増える。もう、言えなくなってしまった事の方が多くて。言われたら訴えるしかないよ。タイで去勢した事はバラされたくない。みんなが見た目で知ってるからって関係ない。手っ取り早い話、英語や、フランス語とか使って、秘密裏に、皮肉の通じあえる程度のユーモアで弄ってくれればよくない? 皮肉って頭良くないと使い切れないんだよね。馬鹿は馬鹿だから馬鹿ばっかりなんだよ。いやだから、馬鹿っていう方が馬鹿なんだよ。だれが馬鹿だって保証するの? 馬鹿が馬鹿であるとかなんとか保証するだとかくだらない事考えてるって時点でもう馬鹿なんだよ。ほんとに馬鹿ばっかり。

追補(お前の方が馬鹿だよ^_^)





6

例えば、誰がこれを書いているんでしょうね。きっと「こんなもの誰も書いていないよ」っていう事実が証明されることの方が望ましくて、眩しい。そんな、ゲロまみれの首にマフラーをかけてあげるくらい、抱擁の手本であり続けてくだひゃい。

...酔っ払ってんの? そうかもしれない。きっとそうかもしれない...そうあってほしい...でないと...

でないと? ...なんでもない...なんでもないから......このはなしはやめましょう...会話になってないから...最初からじゃない?...最初からなんだ......めんどくさいやつだとずっと思ってたよ....お互いにね....あなたの書いた日記なんて、読みたくないんだよ。

どうせつまらないんだから。とは言ってくれない。本当はちがうんだよ。面白いんだよ。とは言ってくれる。





7

最初から解説します。この文章に大した意味はないです。1から6まで会社の昼休みにコツコツ書きました。なぜなら暇だったからです。語り手は女の子二人、という想定です。女子高生がいい、という声が急に聞こえてきたので途中から女子高生になりきろうとしました。なぜなら、上司からラインで裏デリでも呼んだら? と言われたからです。価値とか生産性という言葉そのものには意味がありません。ちょっとだけ背のびしようとして、高度な笑。概念に見えそうな単語を弄ろうとして、なにもかも疎通できなくなるコミニケーションを描こうとしました。

それから、何がしたかったのか? という弁明をするためにこの章を書いている、と受け取られることは心外です。これもまた、作品の一部であると、断言できますし、別にここに書かれたことが真実であると、思ってもいません。別にメタ的であるとも思いません。なぜなら、そう思うからです。重たくかんがえなくていいんです。自由に読んでください。





8

ピースに息を吹きかけ
飛び散る乾燥肌の雑種犬
皮膚が蔓延してしまい
鉄土のような炎症を
獅子に添付する蚯蚓
モナドノックの音形に敷かれた
隣席の横綱が
電子書籍の注釈を
日没に蒸して
水の祈りを聞かせる
ひび割れたコインロッカーのテーブル
軽油で走るアキレスが
老化するまで
誰も脇を濡らさなかった
笑い声と
花についたポマードの香りだけが
水についた染みを祝福してくれる
河川敷のバスターミナル
皮に描かれた男の秘所に
むさぼりつく蛆虫達
空に点火した
天井のサンダル





9

おにぃさんこっちおいで
マッサージしてあげるよ
ほんとにぃ?
まじぃ?

嬢にライターで、覚えたてのタバコに火をつけてもらった。気がついたら5万払ってた。ちくしょー。後輩は奢られるためにそんざいしているらしい。しかも、これからおっパブに行きたいらしい。全部で5人。マジかよー。夏のボーナスって何?

ブスとかブサイクとかどうでもいいから。マジで。マジで金くれよ。お前らの為に働いてる訳じゃねぇんだよ。お前、これで明日会社やめまーすとか言ったら地の果てまで追ってやるからなコラ




10

1995/4/4(火)

東京都世田谷区で、路線バス1台と乗用車車2台が絡み合い、歩行者を含めた10人が死亡した事故で、警視庁は、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)容疑で乗用車を運転していた20代男性を現行犯逮捕した。男性の話によれば、運転中に意識が飛び、右半身が痺れてブレーキを踏むことができなかったという。

10

人を殺すことって、簡単だよね。人を愛するくらいに難しいよね。...あなた、適当にいってるでしょ。だから全てにおいて発言が軽いの。そんでもって暗いの。人を適当に傷つけたり、傷つけられたり、空気読めなかったり、気取ったふりして、それができてないの、全体的に軽くみえるからでしょ。いやいや、重たい人なんてどこにもいないよ。重たいように見えるだけ。涼しげにみえるだけ。飄々としてるように見えるだけ。いやいや、軽いとか重たいとか、分かってないでしょ。本当に、全てが、傷つかないのであれば、溢れる砂つぶの方が、ずっと素直だよ。人を殺せば謎が生まれるでしょ。謎があれば、動機がかけるでしょ。動機があれば、必然も運命もあり得るでしょ。そういう風に見えるでしょ。心不全で死ぬわけじゃないんだよ。天国や地獄なんて本当にあると思ってる? あるんだよ。実際には。そんなものどこにもないのにね。


軽いの反対は重たいではないんだよ。





11

だれですか、こんなデタラメな記事を書いたの。死者を侮辱する行為、本当は何もしていない人達や、本当に何かしでかしてしまった人達、そういうことに対して感心のある人達、もしくはない人達、生きている人達、今死んでいく人達、生きているくまさん、ねこちゃん、わんた、くまぞう、コイキング、メノクラゲ、ハッサム、ジバニャン、雪女、猫娘、カッパのくぅ、コメディウルフ...



12

流れからして、ここらへんでお茶にごすような文章を挿入すべき

まじで言ってんの?

まじって、何さ

なんだろね

まじがまじであったこと、どれくらいあったんだろう。ってめんどくさいことかんがえてるから、いつまでたってもまじはまじにならない。ほんきのまじなんていらないんだよ。


12

小さな日本の小さな出来事の一つ一つに興奮しているみなさん。世界のこと何も知らないのに知った気になっているみなさん。おはようございます。日本のこと何も知らないみなさん。世界のことなんでも知っているみなさん。知っていることを知っているみなさん。知っていることをしらないみなさん。知っていないことをしらないみなさん。知っていないことをしらないみなさん。知っていることをしらない事を知っているみなさん。あなたどうですか? わたしはどうでしょうか。べつにどうだっていいんでしょう。どうでもいいってことが真実なんでしょう。色々と腐ってますね。ほんと馬鹿ばっかり。でも、美味しいよ。たべてみない?

12

あなた、役人って知ってる?

あなたは役人をどう知ってる?

わたしは公務員だってこと、ちゃんとわかってる




13

着想めも(読まなくても全然いいよ!)

お腹がとっても苦しくなってしまって、いつのまにか体重10キロ増加!! 隠れてお菓子なんか食べてるからだって、医者に怒られてしまったんです。でも、食べないとやっていけませんし。

*1 昔、公園でオリジナルの紙芝居を読んでくれたーみたいな老人がいたと思うんですけど、その人達がどういう思いで子供達に読み聞かせていたのか、よくわからなくて、つまり、そこから全て始まったんです

*2 これは実際の上司に言われた言葉。仕事場では馬鹿キャラで通ってるんです。簡単に言うと非常識って認識された人間から干されてくってことがいいたくて

*3 正しく生きねばならないみたいな人達に怒られた思い出をばねにして書きました。うるせー

*4 適当に女や男になりたがるけど別になりたいわけでもないし、そもそも男とか女の子ってなんなん?って思いながら書きました

*5 年とかあんまり関係ないことを書こうと思いました

*6 そろそろだれが何を書いているのか気になってしまったので、衝動的に書いてしまいました。今ではとても反省しています(ほんとはしてないだろこいつ)

*7 スタンスの表明みたいな感じ。これ書いといた方が読みやすくなるかなと思って。それ以外の他意はありません。なんつーか、オーディオコメンタリーみたいな。

*8 色々とドン引きされたかなと思ってこれは真面目に書いてるものですよって、言いたくなったので差し込みました。後悔はしてないです。単品でも楽しめる、ってか前後の文脈と殆ど関わりのないものです。これは

*9 半分実話です。

*10 色々なニュースサイトを読んで、嘘の事件を練り上げました。こうして練り上げた嘘の事件を書くという事に対して何を思うのか、という所も合わせて書こうと思いました。

*11 ツッコミを入れようとしたんですけど、よくある事なので、まいっかってなりました。べつに被害者でもなんでもないですし

*12 一生懸命締めようとしたんですけど、だめでした。わたしには才能ないんだなって。あっ、わたしってはじめてつかっちゃいましたね。あはは。最初に提示したテーマに戻るのって大事だとおもいます

*13 上に書いたこと、全部嘘です。というか、ここから始まるんですよね。こう、輪っかになって、繋がるんで。いや、だから、何事も繋がりを求めますから、だから、切断したりするんで、いや、もうそういうのとかありふれてるとおもうんですけど、でも、繋がりすぎると疲れちゃうし、ドン引されてもね、もうここまで、読まれる事もないでしょうけど、長すぎて退屈かもしれませんね、ええ、これから始まる途方も無くない描写、トンネルの向こう側、花嫁と落ち葉、枯れ枝とマグロ、チータラと死化粧、クラゲと曼珠沙華、味噌カツとロブスター、きったりくっついたり、誰が何話してるのかもわからない、興味なんて最初からなかった、ただの打ち込まれた五寸釘で、マフラー縫い付けられて、血を吐いた老婆を前にして、何の手助けもできない、地震が起きても立つ事すら出来ないんですから、火山が噴火してもここは東京都、今、桜島にいたとしてもどの道かわりません。








14

六本木で大麻吸った
所持する事、栽培することはだめなんだってさ
吸うことは別にいいんだって
罪として問われないから
なにそれ
まじくそだよねーっ
ねっーーーーーっっっ!!
抜け殻みたいになってる
自動販売機がおかしくてしょうがないんだ
本当に本当に
つまらないことで笑ってたら
肺が苦しくなってきた
呼吸がちゃんとできなくて
ながい、ながい
夢をみたんだ
終わらない紙芝居を

何千枚とある
こんだけ書いたのに
なに書いたのかわすれちゃった
直訴する必要なんてどこにもない
ただ、釣り銭を引きちぎるように
ポケットにしまいこんだ
選挙速報が
電話ボックスの中に溢れ始めて


あほになってきえさかる

  屑張



ちの引いたきんにくばかりがならぶ。刃物は祭壇され、歌声は喉から血肉のように溢れる、
確かな歯ならびという概念がある

色々によみとれる
だが、ひとつでしかないそんざいたちが
いみでしかよみとられないよう、
既に役割は決められた、
ひとのかくものは、
常にうたがいようのない存在のようだから、
我輩はここにすんでおるのだよ

ディレクトリの底で実行される
小さな子供達


わたしを橋わたし、
はならびこぼれ
庭(にわ)盛える
エロ本を右手に
ラファエル、
ビニールテープを破く。
残飯を撒いてやれば
日章旗が光を遮る
どこまでも飛翔する
しろい空白

風が、茹で顔でタイルを滑る
退路は阻まれ、
ブランチを駆け回る影法師は
音の響きだけでここに描かれる

ジャムとマーガリンと薄切りの食パンのような
組み合わせは滅んでしまえばいいのに

ただ、影としてそこにあるならば



無意味が、
ようやく包み込んで、くれて、
いい加減日が落ちるようだ、
そろそろ100文字でくらいで
おわろっか

焚き火で
小さな今を引き継ぎ、
薪に乾いた
ほめうたを注げば、
焦げていくのさ
訝しげな眉毛を切り裂き、
鼻を臓物の香りで塞げば、

「大丈夫
「きっと楽になれるよ


(何がだいじょうぶなのか何も分からない、飼い猫が鼠のように増え、燻んだ家を喰い散らかすように)



アバズレのような音の楽しみ方で
キッチンに香り立つ死を調理シテ
歌えばいい
黄泉がえりの唄
貝柱はバラバラに斬られて
さかさまに
皆様方首を吊り
さかしまにもう後がなくなったと
言わんばかりの騙り事をやめても
バター醤油で炒めて
味のないバラッドを歌おう
フォークで指を突いた男が
焦げた携帯電話を握りしめ
新しい男を呼びつける
(焦げた陰茎から光が漏れ始める
(呼ばれた男はその光を口で受け止めなければならない
(Siriの流した涙と同じ味がする
(新しい種がゆうきELの隙間から芽を開かせて

一匹の蛙が猫の死体になって報道された


無題

  屑張



人間の肌は黒糖菓子で、電車の中で足を組まれている皺だらけの捻れたスーツから臭いの汗が垂れる。紙コップの中身を掛けられたローファーは、切れそうな車内の蛍光灯へ、短い唾を吹き込む。安全靴の先から一匹の蝿が沸き立つ。

背を、少しだけ曲げさせられた、つり革の上に、薄く、預けられた通勤カバンの隙間から、これからの未来について、本が腕を剥ごうと企む。ぶら下がる半透明な爪から、電子タバコの軽い、メンソールが騒ぐ。唇を、薄く、摩る、右肘から床下へ、入水する硬貨。交差する蝉時雨、という耳鳴り。

這いずる黒蜥蜴。老婆は、伸ばしていたとりかえばや物語を包むが、煤けた虫眼鏡を駅舎に置き忘れてしまう。車窓を少しだけ開くと愛染のストールが煤煙の海で踊り狂っていた。浜辺に立つ、形の顔をした残丘は、波を模倣して人のすまない部屋の中を海鳥を買う為に必要な呼び名で覆い尽くしてしまう。水平線の先に俊立する雷鳴は天を掴んだような覚えをした。

耳元で震える、アコーディオンの蛇腹を脇のソファーに蹴り置き、電池の水が噴き出したリモコンで、ふるえながら白鳥を撃ち殺してしまった、という枯れ貯め池をタブレットで頬張る、ワードワックスで短髪を刻刻に立てた男。私は熊が好きだ。トートバッグから、威勢がする。靴紐がほどけ始める。徐々に埋まり行く空白の席に置かれた、温習みかん。矍鑠な口紅が歌い始める。ここは、ここは、ここの穴から、広がったサンダルは、穴の抜けた三角は、どこまでもどこまでも、丸く尖って、血のついたトマトのようにみえなくて、疲れている。もうじき降りなくてはいけないのに。ホームと右足の隙間に落ちてしまった。


あざらし

  屑張




痩せたアイスコーヒーの香りが、摩天楼の地下水脈を伝わり、油膜の張った海に紛れているのを、右中指で汲み取るが、変色した舌で味わう事が出来なかった。

星の見えない夜は、昼に太陽の見えない森と同じように、蜷局を巻いた澱みという狩人が、淡い口紅をビルディングの壁に擦りつけ、銃口を自らに向け楽しんでいるようだった。

幽霊は履いた白い天幕を脱ぎ捨て、排水溝には飴色の塵が詰まる。目が見えないのか、〓についた血を触る事も出来なくなってしまったのか。空を舞う蠅の羽が折れ、地べたを這いつくばっている事にも誰も気付かない。

「海を泳いでいる妖精たち」という認識が支配している。その認識をもたらした影は死滅している。古い書物を図書館から引き上げ、捲る度に白紙が増えていく。開かれたページにはあざらしさんスタンプが手を振っているばかりだ。あざらしさんとは何でしょうか。

●あざらしさん

あざらしさんは大手を振ってあざらしさんといってくれます。いってくれたあざらしさんにはあざらしさーん!!と声をかけてあげましょう。あざらしさんは、かならず手を振り返してくれますので、手を振り返してもらったら必ず手を振り返す必要があります。あざらしさんは海に住んでいて、時折顔を見せてくれます。あざらしさーん!!


喉を伝うカメレオン珈琲の香りが湧いてくる。この味を知らないまま中指の爪で引っ掻いた全てを掴み取る必要があるようだが、この端末に残されたトンボの死骸は茶色い屑を突きつけ、引き金を引き続けるばかりだ。


星の見えない夜、幽霊たちが集会を開き自作した口紅を白い天幕に塗布する。その模様がゴマフアザラシにとてもよく似ている事を知っているのは、全てを見下ろした古い摩天楼の街並みだけである。


引き取り人、越ヶ谷

  屑張

  ―――こしがたに*1在住の越ヶ谷*2さんは青いキャップを付けて家を出る。

 越ヶ谷さんが玄関の戸を開くと、目の前にはステンレス製で一本足のポストが立っていました。
 朝日を浴びたポストの口の部分には白い紙があふれており、何枚か地面の上に落ちて朝露に濡れて皺くちゃになるまで縮んでおります。
 越ヶ谷さんはその中から地面に落ちた一枚を拾い上げ、丁寧に皺を伸ばしながら開き、うつろな目で紙に書いてある言葉を読んでいるようです。
 紙には「おはようございます」という一文が歪な油性ペンで、縦書きで綴られており、ポストに詰められたどの紙を開いても、同じ言葉が書いてありました。
 越ヶ谷さんは玄関から出た時と同じ表情のまま、素早く紙を丸めると小さな庭に向かって投げ捨てました。
 越ヶ谷さんは家の鍵を閉め、青色のバンに乗り込むと、エンジンを起動させて朝8時前に自宅を出ました。
 ポストには小さなカメラが設置してあり、その映像を確認すると、何日も洗濯していないよれた灰色のジャージ着込んだ新聞配達の学生が、入りきらなくなったポストの中へねじ込むように紙を投函している様子が写っておりました。*3
 ですが、仕掛けたカメラの映像を見ようとすると、何故かカメラの充電が切れているか、誰かに壊されていたり、SDカードが抜き去られているため、誰がこの紙をポストに投函しているのか越ヶ谷さんは知りませんでした。*4
 
 越ヶ谷さんが向かった先は、今日の仕事現場でした。


                  ***


 越ヶ谷さんは、何も考えずに仕事をする事が得意でした。
 
 今日の仕事は、自然保護区に猟銃を持ち込みシルバーバックのゴリラ*5を殺してしまった脇ノ谷*6の原人をこしがたにの留置所*7から脇ノ下にある鉄筋コンクリート造空きアパートに護送する事でした。*8
 越ヶ谷さんは、自前の青塗りのバンに、手錠を掛けられ、頭に白い布を被せられた原人を乗せました。
 原人たちは猿ぐつわを噛まされていましたが、警察署を出てバンに乗り込み、護送される間一切の抵抗を諦めているように、一言もしゃべらず、越ヶ谷さんの指示に淡々と従っています。
 
 越ヶ谷さんは、車を運転している時は必ず掌サイズのMD*9ボックスからランダムに取り出した音楽をかける事に決めていました。
 運転している時は何も考えたくないという理由で、湘南乃風*10やFLOW*11を流すことに決めていました。
 要するに、越ヶ谷さんのMDボックスの中身は5年以上変わっていませんでした。
 
 そんな越ヶ谷さんの車が崖の下から発見されたのは、密猟者達の護送が完了した電話の報告があってから数時間後の事です。

                  ***


 山の中を切り開いて小さな畑を耕していた50代の農民による報告から全ては始まりました。
 駆け付けた警察官の証言によれば、歪んだ車体の青い色を見ただけでこれは「越ケ谷さんのバンだ」と一目分かったそうです。
 見つけられた越ヶ谷さんのバンは頭から崖下へ落ちてしまったためか、ボンネットは蛇腹状になるまで潰れており、車体の側面は崖を転げ落ちた時に出来た擦り傷だらけでした。
 また、所々塗装がはがれ落ちて金属がむき出しになっており、熊が爪を立てたような等間隔の三本の傷跡があちこちにありました。
 
 後部座席には鍵が掛かっていなかったため、数人掛かりでこじ開けて中を見ると、社内全体が血しぶきの海と化していました。

 それは、崖から転げ落ちた車の運転席に乗車していた人間が圧死した事により生み出された惨劇であると、一瞬だれもが直感的に感じたと言います。
 ですが、それにしても後部座席まで飛び散った肉片の量がどうあがいても足りませんでした。
 
 運転席には越ヶ谷さんの愛用していた青いツナギがエアバックの間に挟まっておりましたが、そこに人一人が収まっているような空間はどこにもありませんでした。
 血しぶきは社内全体に広がっていましたが、内臓などの越ヶ谷さんを構成する内臓はどこにも見つからず、現場検証を行った検察官は、直ぐに他殺の可能性を脳裏に描いていたといいます。
  
 現場検証の手伝いに出向いていた警察官が、事故現場近くの森株の上に人間を皮が掛けれれているのを見つけました。
 検察官の手によって、その後越ヶ谷さん人皮*12であるとの特定がなされました。
 また、森から出入りする際に必ず通らなくてはならないトンネルの入り口に、越ヶ谷さんの内臓が詰められた透明なガラスの水槽が置かれているのが発見されました。*13

 越ヶ谷さんが誰かによって殺され、体を解体されたという事実は誰であろうと一目瞭然の物でありましたが、私を除いて越ヶ谷さんの死を報道する媒体はどこにもありませんでした。*14
(また、第一発見者の農民はこの事件から数か月後に、煙草が原因による脳梗塞に倒れ死去したといわれています。)
 
 青いバンのボンネットの奥まったところには、小さな鉄製の錆びた賽銭箱がおいてありました。
 賽銭箱には、越ヶ谷さんがここ1ヶ月で買った商品のレシートが詰め込まれており、溶断機で箱の中身をあけてみると、一番底に昭和六十四年の五円玉が貼り付けてありました。
 
 これこそが越ヶ谷さんの宗教観の全てであり、越ヶ谷さんの祈りそのものでした。


                  ***


 越ヶ谷さんの日常を探る為に私は、新宿駅から徒歩10分程にある公園*15の水飲み場を住所にしている女子高生で、越ヶ谷さんの唯一の友達の元を尋ねました。

 公園では、仮面をつけた小太りの大人と女子高生が仲良くブランコを立ち漕ぎしている様子が目撃されており、公園の巡回を担当している警察官達は越ヶ谷さんの身分が引き取り人でなければ放置しなかったと、証言しています。
 (女子高生は越ヶ谷さんと友達であることから、公園に住むことができ、補導の対象外となっていたのでした。)

 越ヶ谷さんは女子高生に物を語りかける時、必ず仮面をかぶっていました。
 仮面を外すと、歯が整っていない歪な瓶底メガネの中年男性で全ての印象が上書きされてしまうからです。
 また、念には念を入れて、毎月原人から剥ぎ取った人皮の仮面を顔の表面に貼り付けており、顔がばれてしまうことを避けていました。
 ズボンの右側ポヶットには自衛の為と称して常に刃渡り5センチ程の質の悪い十徳ナイフが入っていました。
 越ヶ谷さんは、いつ自分が殺さそうになったとしても返り討ちすることができる準備をしていたのです。

 女子高生の両親は、生まれてから間もない血みどろの状態で、近くの寺の前に彼女を置き去りにした原人でした。
 裸の状態で一夜を過ごした女子高生は、門前で丸くなっていた所を住職に見つかり、急いで病院に担ぎ込まれた所、一命を取り留めたのでした。

 女子高生は児童相談所を通じ、引き取り手が見つかるまでの間乳児院に引き取られる事になりました。

 しかし、2歳を過ぎても引き取り手が見つからなかった女子高生は、そのまま児童養護施設に預けられる事になりました。
 女子高生はすくすくと育っていき中学2年生まで成長しました。
 
 ですが、14歳を迎えようとした5月GWを過ぎた頃に、児童養護施設を飛び出し、毎晩口付ける事を習慣とした原人達が生息する自然保護区を住所として定め、一人サバイバル生活を始めました。
 そうです、彼女は高校生ではありませんでした。
 捨てられた制服を着飾る事で身分という仮面をかぶったただの原人でした。

 女子高生には名前がありませんでした。

 貧困女子を特集した報道番組のコーナーで、彼女はよく取り上げられましたが、彼女は、自分の名前を明かす事ができませんでした。
 代わりに「夢は野球部のマネージャーになって、野球部を甲子園に行くためのサポートをすること」だとインタビューで答え続けました。


                  ***


 こしがたにの越ヶ谷さんの家はもうどこにもありません。

 引き取られそこねた彼女は女子高生として生き、16歳の春を迎える前に餓死しました。

 コンクリート造の建物に押し込められた原人たちの正体は、実は原人ではありませんでした。


                  ***


 原人たちはよく原住民達に原人であると揶揄されました。
 石を投げられ、住んでいた家を追い出される事もありました。
 仕事も原住民に比べると重労働の職に就かざるを得ない場合が多く、その分断は事あるごとに原人たちの中に苛立ちや差別意識に対する拒絶感、あるいは暴力性を膨らませていくことになりました。


                  ***


 大学生の新聞配達員が、貧困男子のインタビューに答えることがありました。
 大学生でありながらバイトしかしていない彼の頭には、毎月の労働から得られる時給換算の収入と、スロットで作り上げた借金を効率よく返すための方法しか頭になかったため、取材内容は報道される事はありませんでした。*16


                  ***


 「額に押された原人のマークを引き取り、何も言わずに考え、引き取った原人を輸送する。その間にどのような殺され方をしたとしても文句を言われない事。もしくは、文句を言われ続けても良い存在である事」

 応募要項の中身を引き摺り出し、苔茶色の羽毛がむくむくと膨れ上がり、鈍色の嘴の生えた、濁った黄色い瞳で、四本足で、地べたを這いつくばっているような生き物が新宿の公園で交尾しています。
 生殖活動が日に日に深まっている様子を引き取る理由、みたいなものはありますでしょうか? こしがたにの越ヶ谷さん。


                  ***


<注釈>

*1こしがたに…1959年(昭和34年)9月1日に青森県の大湊町と田名部町が合体して大湊田名部市ができました。日本では比較的珍しい2つの地名をつないだ連名の市でした。この大湊田名部市が長い名前が嫌われたのかどうかわかりませんが、1年も経たない1960年(昭和35年)7月31日にむつ市と改称しました。このむつ市が記念すべき日本で最初のひらがなの市になったわけです。ひらがなの市はその後も数多く誕生しています。1995年(平成7年)(平成7年)9月1日に誕生したあきる野市は、ひらがなと漢字の混じった最初の市です。2001年(平成13年)(平成13年)5月1日には県庁所在地として初めてのひらがな市である、さいたま市が誕生しました。
(『都道府県・市区町村』、「ひらがな・カタカナの市町村」、2020/09/03閲覧)

1999年12月、政府は新しい「行政改革大綱」を決め、全国の市町村を2005年まで現在の3分の1である1000以下にしようと、合併を強引に進める方針を定めた。これは、明治21〜22年の町村大合併、また昭和37年の住居表示に匹敵する大改革である。この大改革によって、合併市町村の新しい名がぞくぞくと誕生することになったが、その中には、私どもが年来主張している由緒ある地名とはまったくかけ離れた、新市・新町の名がしばしば見られる。その安易な命名は、あるいはいたずらにひらがな書きにし、または安易に方位方向を冠し、あるいは合併市町村の頭文字をとって合成し、あるいは根拠のない瑞祥地名をとるなど、あまりにもほしいままな命名が横行している。これらは、その土地の実情を的確に反映しているものとは言えず、日本の地名の新しい受難時代の到来と言っても過言ではない。それは、地名の危機であるばかりでなく、日本人の風土感覚を狂わせる重大な問題を孕んでいる。この現状を座視するにしのびず、私ども日本地名研究所はここに警告し声明を発表するものである。2002年3月  日本地名研究所所長 谷 川 健 一
(ほっぴいこうせい「谷川健一さんが亡くなって」、2020/09/03閲覧)
尚、日本地名研究所所長の出した谷川健一「緊急声明」原文が提示されたURLは現在無効であり確認する事ができない。

*2 越ヶ谷…「越ヶ谷」は「越(腰)の谷」の意で、「こし」は「山地や丘陵地の麓付近」の意、「谷」は「低地」の意であると思われる。つまり、「大宮台地の麓にある低地」を指す地名であると推測される。「越谷」の地名は、1954年、合併により越谷町が成立した際に、合併前の越ヶ谷町と区別するために「ヶ」を取って「越谷町」としたことに由来する。したがって、旧越ヶ谷町にあたる越谷市の中央部の地名は、現在「越谷市越ヶ谷」であり、それ以外の「こしがや」が付く地名は、越谷町成立以降に出来た地名なので、「南越谷」「北越谷」「東越谷」などのように「ヶ」が入らない。同様の理由で「越ヶ谷高等学校」には「ヶ」が入り、「越谷北高等学校」「越谷南高等学校」などには「ヶ」が入らない。
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』、「越谷市」、2020/09/02閲覧)

*3 越ヶ谷さんは新聞の定期購読の契約を結んでいない。

*4 越ヶ谷さんは、犯人を特定する気が最初から無い。越ヶ谷さんに取材を申し込んだ週刊誌の記者によれば、越ヶ谷さんがある日このような話をおもむろに語りだしたという。「多分これは、いたずら好きな人間が嫌がらせを生き甲斐として生きている事から生まれた仕業なんですよ。そうでなければ、毎日こんな辺鄙な場所まで歩いてきて、せっせと挨拶文を書きなぐっただけの紙をポストに入れ続けるわけがないんですから。こんなくだらない事に人生を賭けられるって素敵な事だと思いませんでしょうか。そして、僕はその生き甲斐を向けられた対象として選ばれた訳です。つまり、彼に挑まれているんですよ。これは僕が今引き取り人という職業に従事している理由の一つかもしれませんね。こうして、僕が彼が生きるための生き甲斐として選ばれた事が本当にうれしいです。逆に僕にとってそれが生き甲斐になる。また、僕がこうして選ばれた事は天の思し召しだと思うんです。わかりやすくいうと神様が与えてくれた試練なのかもしれません。彼の感情を受け止め、引き取り、寛かいするまで付き合う事ができたら僕は本物になれると思うんですよ。最近、朝の目覚めがとてもいいんです。今まで無気力に生きてきた人生が嘘みたいに変わって、僕も彼に負けてられないと思うようになったら布団から出るのが楽になったんです」越ヶ谷さんは犯人を突き止める気はなく、自分で仕掛けたカメラを意図的に破壊する事により、毎朝ポストに投函される紙を、表面的には拒絶しつつ、心の中で望んでいた。

*5シルバーバックのゴリラ…アフリカ東部・ウガンダで特に有名だった雄のマウンテンゴリラ「ラフィキ」が殺害された。ラフィキは25歳だったとみられている。ブウィンディ原生国立公園で暮らしていた「ラフィキ」は、銀色に見える白い毛を背中に生やした「シルバーバック」と呼ばれる雄で、17頭の群れのボスだった。鋭利な物体で内臓を刺されて死亡しているのが見つかったという。男4人が逮捕されており、絶滅危惧種の殺害で有罪となれば終身刑、もしくは540万ドルの罰金刑を科せられる。世界中にマウンテンゴリラは1000頭余りしかいない。ウガンダ野生生物保護庁(UWA)は、ラフィキを失ったことは「大打撃だ」と話している。ラフィキが率いた群れは、人間との接触に慣れていた。「ラフィキが死亡したことで群れは不安定になる。バラバラに離散してしまう可能性もある」と、UWAのバシール・ハンギ氏はBBCに話した。「リーダーを失った状態で、野生のシルバーバックにのっとられるかもしれない」。そうなった場合、群れは人間との接触を避けるようになり、その場合は観光に影響するという。マウンテンゴリラは観光客に人気で、UWAは観光収益に依存している。(『BBC NEWS JAPAN』、「有名なシルバーバック・ゴリラ、密猟者に殺される ウガンダ」、2020/09/04閲覧)

*6 脇ノ谷…和歌山県・大阪府、奈良県。地形。脇の谷から。和歌山県では家の周囲に「わきん谷」の通称があったと伝える。推定では江戸時代。和歌山県橋本市隅田町山内に分布あり。(『日本姓氏語源辞典』、「脇ノ谷の由来、語源、分布」、2020/09/04閲覧)

ひらがな・カタカナ地名(ひらがな・カタカナちめい)は、地名を命名法・由来などをもとに分類した地名種類の一種である。仮名書き地名(かながきちめい)とも呼ばれる。日本の地名表記のなかで漢字で地名を全て表記していない場合に言われる。一部に漢字を用いる場合もこれに含まれるが、長野県下高井郡山ノ内町の「ノ」のように助詞を漢字で表記せずに用いるものは含まない。ひらがな・カタカナの市町村名は当て字でひらがなではない漢字表記が存在する。それを、イメージアップを狙って、あやかって、漢字よりも優しく感じる等の理由で意図的にひらがな表記にしたものである。市町村合併、特に新設合併によって誕生する事例が多く、「柔らかなイメージを持たせるため」という理由で付けられることが多い。一方で2019年1月現在、都道府県名・郡名・区名にはひらがな・カタカナのものはなく、新たに生まれる予定もない。(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』、「ひらがな・カタカナ地名」、2020/09/04閲覧)

*7 ひらがな地名の最大の欠点は、文章の中に地名が埋没してしまうということだろう。特に走り読みする場合、自分の興味のある都市のことが書かれていたとしても、ひらがな文字だと読み過ごしてしまう恐れがある。例えば、「明日たつので一度会いあい」という表現があったとする。この文章の中に地名が潜んでいるとは、地元の人でなければ発見できないだろう。その内容から、「明日旅立つので、その前に一度会って話がしたい」と解釈したとしてもおかしくはない。またか「明日、“たつの”という町で会いたい」という意味だとは、思いもよらぬことではないだろうか。(浅井 建爾『都道府県 アラカルト Vol6』、「なぜ、ひらがな文字の市町村名が増えるのか?」、2020/09/04閲覧)

*8 脇ノ下の動物殺しは森に帰ってくるな運動…自然保護区で厳重に管理されていたシルバーバックのゴリラを殺してしまった原人4人が釈放されることになり、住んでいた脇ノ下に帰ろうとした所、脇ノ下在住の原住民達による。「動物殺しを森に返すな」運動が活発化した。騒動は1000人規模のデモを発生させ、一時的に原人が留置されたこしがたに警察署前は空前絶後の混雑に見舞われ、交通事故が発生したり、無関係の市民がデモ中に投げられた瓶で怪我を負うなどの被害が発生した。こしがたに市長は原人たちを脇ノ谷に長らく放置された幽霊アパートに隔離する事で、騒動を抑える事にした。引き取り人の仕事の多くはこうした厄介ごとにまつわる後処理を任せられる事がほとんどである。

*9 MD…ミニディスク(英語: MiniDisc)とは、ソニーが1991年(平成3年)に発表し、翌年の1992年(平成4年)に製品化したデジタルオーディオの光学ディスク記録方式、および、その媒体である。略称はMD(エムディー)。アナログコンパクトカセットを代替するという目標が開発の背景にあった。
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』、「ミニディスク」、2020/09/04閲覧)

…(中略)…カセットに代わる次世代の録音メディアとして、ソニーが開発しました。当時は松下電器産業(現パナソニック)がオランダのフィリップスと共同開発したDCC(デジタル・コンパクト・カセット)というメディアも同時期に発表しており、どちらが覇権を握るか注目されていました。…(中略)…DCCはカセットテープとほぼ同じ形のメディアにデジタル音源を磁気録音するもの。カセットとの互換性が高く、DCCデッキはカセットテープが再生できました。一方、MDはご存じの通りランダムアクセスで、テープよりも頭出しや追加録音が容易。シャッフル再生や曲順の入れ替えもできました。結果的にはその使い勝手の良さが評価され、MDが普及していったんです。…(中略)…それだけ一世を風靡したMDですが、2000年代に入ると、MDの何十倍もの楽曲を記録できて、パソコンさえあれば扱いも簡単なiPodをはじめとするデジタルオーディオプレーヤーに取って代わられることになります。…(中略)…今、カセットテープは録音するためではなく、CDやアナログレコードと同じ音楽タイトルとして人気じゃないですか。実はMDも登場した当時は音楽タイトルも発売していたんです。…(中略)…ソニーがMDを売り出した時の広告には、確かマライア・キャリーが使われていて、彼女のアルバムが収録されたミュージックMDも発売されていたはずです。他にもいろいろ発売されていたんですよ。…(中略)…MDのマーヶットは日本が中心で、あとはヨーロッパの一部で使われていた程度でした。これがカセットテープのように世界的に流通していれば、事情はまた違っていたのかなとも思います。
(MONO TRENDY『AVフラッシュ』、「平成生まれのMD 再生機は生産終了間近、部品も…」、2020/09/04閲覧)

*10 湘南乃風『睡蓮花 MV』https://www.youtube.com/watch?v=PjGbnPYwt1g

*11 FLOW 『GO!!! 〜15th Anniversary ver.〜』https://www.youtube.com/watch?v=IYIOr_1G7y0

*12 皮剥ぎの刑(かわはぎのけい)とは、罪人の全身の皮膚を刃物などを使って剥ぎ取る処刑法。古代よりオリエント、地中海世界、中国など世界各地で行われていた。全身の皮膚を失った罪人は、長時間苦しんだ後に死に至る。執行から死に至る長時間の苦痛はもとより、皮をはがされた人体は正視に堪えるものではない。そのため、見せしめとしての意味合いも大きい。 拷問として、体の一部分の皮のみを剥ぐ場合もあった。
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』、「皮剥ぎの刑」、2020/09/04閲覧)

『最後の審判』(さいごのしんぱん、イタリア語 Giudizio Universale)は、ルネサンス期の芸術家ミヶランジェロの代表作で、バチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂の祭壇に描かれたフレスコ画である。1541年に完成した。…(中略)…また、キリストの右下には自身の生皮を持つバルトロマイが描かれているが、この生皮はミヶランジェロの自画像とされる。
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』、「最後の審判 (ミヶランジェロ)」、2020/09/04閲覧)

*13 世界を騒がす怪盗・殺人鬼。「怪盗X」の呼び名は邦訳であり、正しくは未知を表すXと、不可視 (Invisible) を表すIを合わせた“怪物強盗X.I(monster robber X・I)”。作中では「X(サイ)」と略されることが多い。美術品を盗むと同時に人を一人誘拐し、遺体を「赤い箱」に加工して返却するという、類を見ない手口で恐れられている。全く目撃されない上に証拠一つ残さない手際の良さや後述の特徴を、海外のメディアは「怪物強盗X.I」と名付けた。…(中略)…人間の突然変異とも言うべき存在で、細胞を操作し、子供から老婆、果ては犬にまで姿を変えることが可能。理屈は癌細胞であるらしい。便宜上、普段は幼い少年の姿をとっている。殺した人間に化けることで、一般人から著名人まで多くの人間に「なって」おり、普段は行方をくらませている。人間を一撃で叩き潰すほどの怪力と不死に近い体力を持ち、傷の治りも非常に速い。弱点はあるが、「関節を砕く」「電流で筋肉を麻痺させる」など、せいぜい数秒の時間が稼げる程度。だが最大の欠点は、脳細胞も常に変化するため記憶がその都度失われてしまうこと。故に年齢や性別などを含め、自身の正体が自分でも分からず、「作った奴の中身が全部詰まった」美術品を盗んだり、他人を解体(殺害)して中身を「箱」詰めして観察することで、自分が何であるかの答えを探し出そうとしている。性格は極めて無邪気で残酷だが、内面には「自分の中身がわからない」故の苦悩と不安を抱え込んでいる。(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』、「魔人探偵脳噛ネウロの犯罪者」、「怪盗“X”と協力者」、「怪盗X(かいとう サイ)」、2020/09/04閲覧)

*14 「引き取り人、越ヶ谷」を書いた報道記者の名前は不明である。また、報道記者がどの出版社に属しており、どの週刊誌に越ヶ谷さんの記事を載せようとしたのか不明である。

*15 (Odekake7『【新宿周辺】おすすめの公園10選!子連れに人気や遊具のある公園も!』)https://odekake7.net/shinjuku-park-1252/

*16 報道記者にとってもまた、男子大学生の貧困に興味がない。

*17 注釈の内容は全て報道記者が下水道の隅に落とした一冊のノートに殴り書きされた内容を補足するものであるが、私の関心は次に餓死した女子高生の正体や社会の闇について調べる事になるだろう。


一杯の氷

  屑張

洋館の屋上は
ふらつく魂で覆われる

錆びつく小楢の関節人形
突き立てた日本刀で
耳鳴りを吹かす

青ざめた
画鋲の自由研究

再提出した鮫色のカーディガンを羽織り
職員室の引き戸を閉める

淡々と
火花を鼻水のように垂らし、

煌々と、赤黒く炭に塗れた地面へ湧き上がる
歪んだ水ぶくれは
群れをなして沼の視線を空へ逃した

滑りのある、しぶきを巻き散らして
羽の折れた熱帯魚が
でろでろに膨れる

飛散した、校舎裏に伸びる夏の影が
氷山の一角に彷徨い始めて

文学極道

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