選出作品

作品 - 20200904_637_12090p

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カーマイン

  ネン

滅ぼせという声がするので
安定剤ばかり飲んでいる
神様の小さなお庭は夜
群れを成した子どもらに
翼の生えた蜥蜴の話をする
笑えない冗談の好きな質で
駄菓子をこよなく愛し
明日も昨日もないまま
僕らの永久に可哀想な主人は
死ぬ時を夢見ている
破壊するには優し過ぎるから
伏し目がちに祝詞を紡ぐ
その消えない焔の為に
愚かなだけの人の子が作る
幾つの暗闇が照らされるのか
生きようとする者に従い
過去を音もなく焼き尽くし
正しいのはいつも自分で
良心の呵責しかない今を認める
狂っているから分かるし
目を閉じれば見えるだけの
柔いキャンドルライトの様な
僕らの独りぼっちの神様