そのときの僕らときたら奔放で
メンコみたいに弾きあって
ぱちんと簡単にひっくり返されてしまったんだ
ろくに触れもしないまま
風鈴が短冊を振り切って揺らいでいた
一週間数え忘れるほど浮かれていた
僕ばかりしゃべっていた
ほおずきはケロッと舌を垂れているのに
ちぎれ雲走る夕暮れには飴を編む職人がいて
立ち現れては消えるあえかな声を
彼は幾重にも束ねていくのだった
割り箸をくるくると器用に操りながら
陽炎に君はさらわれる
ビー玉を覗く頬のうぶ毛に汗だけが光っていた
僕ばかりしゃべっていたね
竹すだれが面格子の音階を叩くと
夏は甘ったるく疼き
かき氷のスチレンカップがぱりんと割れる
選出作品
作品 - 20200818_275_12061p
- [佳] ぽっぺん - 自由美学 (2020-08)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
ぽっぺん
自由美学