「止まり木になりたい」が口癖だった
通り雨を待つ明日
針よりも細い月を狙う
春にしがみつく無垢なる身体
ハート型の神経衰弱に
1枚だけ黒が混じる
ざらざらと溢れる
粘液の多くは回収されず
それでもまだ生きることは
許されている
/
『
某月某日 快晴
そんな昔の走り書きを見つけた
今日の天気と重なって
そのまま日記に貼り付けようかと思った
よく考えれば自分が
惨めになるのは当然の結果だった
それを無理やり納得せざるを
得ないことも
今 会えたとしたら
あなたは何て言うだろう
どんな言葉だったとしても
多分ちょっと笑って
返すと思う
あなたの何を嫌いになったんだろう
ささくれだった胸の内
それと呼応するように
雨雲が東から伸びてくる
今 会えたとしたら
あなたは何て言うだろう
どんな言葉だったとしても
少しうつむいて
多分ちょっと笑って
「おかえり」って続くのを
ずっと待ってる
。
。
』
“Eli, Eli, Lema Sabachthani”
【^/
扱える武器が足りないと嘆いて久しく
二人の身体の中で暴れないで
救いを求めるだけの業を抱えるか否か
「振り向かないと知ったなら、
さっさと寄越せよ、って言ったのに
錨は長く冷たく、
記憶は混ざるばかりだ。
愛を与えるだけの血を有するか否か
(偽光に縛られたまま静かに眠れ、
二度と醒めないように。
そう、過去に呪った。それは憶えている、
(cyanosis,
あぁ、これからは腐敗した記憶が吐き出す、
絶対に私たちに味方しない
事実の氾濫ばかりだ。
(drain away,
役立たずの血を棄ててしまえ。
外来の化学物質が誰にともなく呟く
体温は下がってきて
神経尖らせた方々に噛み付く隙はない
滅菌されるような管理ではないこと、
蛋白質の融ける匂い
生存からあぶれる
式蜘蛛を燃やす
「淫血症、。
灯は虚ろに面を覆い、叶わぬ時を還す。
その記憶。
蜘蛛の記憶、
--.
「根が張る、
「うん。
「石畳の下に根が張る。
「なにが、
「ほとけさくら。
「え、
「この木。ほとけさくらって云うの、
千年近く此所に%居座り続けてる。
「下には屍体が埋まってるとか、そういう、
「うぅん、いるのは胎児。
ここの亡骸たちは、
みんなこのさくらに、みどりごを
人質に捕られてるの、
「どうして、÷
「知らない。気に入られたの。
「赤ん坊が土の中で育つの、 \5^
「見なさい。
腹の中/外のちがいはあれど、+
そこかしこに眠っているわ。
──いずれ、あたしも。
「いつさ、
「遠くない将来よ、
#\2>○
この躰にやどれば、それと違わず
さくらの根にも。
そうして、地上の子供から、肉親から、
思うさま精を奪ってゆくの、
「それを知る君が、気に入られるもんか、
「気に入られたからこそ呪うの、もう遅いのよ、
「そんなら、その呪いに加担する。
「──来て。
|\^,][::
「君の背中に、みどりごたちが光を放ってる。
「きれいね、
・<>5|.,)$
……ね、
行き過ぎたって
(焼け焦げたって
知ってるでしょう
(知らないでしょう
ただじっと待ってる
(暴れ終わるのを
眠りに就いたなら
胸にさしてあげましょう
何よりも正直な
蠱毒の針を深々と
露命の羅針盤を
(反羅針盤を、
夜叉に繋がる鎖を解く
浮かぶ側から沈んでゆく
<-Who may circulate us,->
「愉快犯相手にドコまで本気になる?なっちゃう?」
《……ね、繰り返すけど、そんな貴方の眼の前で街灯を捻り潰した女の子が分裂して、なおかつ両方とも血を吐いて突然死んだわけ。プラスチックな所為だよ、根性入れて拵えたらしいこの通り全面がさ。そんでさ、蘇生法は習得してるのかしら。まさかコロッセオで何も学ばなかったわけじゃないよねそんな場所じゃないなんて言い訳は通用しないよ。そこのジープ乗り回してる4人組からオートマチックの一丁でも分捕っとけば良かったのさ毎回毎回陳腐だ陳腐だってそこから一歩も動かず一ミリも考えずガタガタガタガタ吐かすくらいなら。掌硫酸で焼くぐらいしないと正気に戻らないのかな他人に溜め込ませたヘイトを引っ被る気分はどうよ。ええ。それに貴方の用意した船だってそうだ喫水線がまるで見えやしねぇ。中で泣きながら歌ってるぜ雇われたハーピィ達がバイオリンの声を隠しながら。いずれ気道も塞がれて貴方が仕組んだ子育てゲームが自壊するのもそう遠くないさ。狙ってるんだろ、彼女たちが、銘々積み上げていったスーツケースも一緒になって腐り果てた血の匂いを纏い始めるのを。せめて名前ぐらいつけてやったらどうだったんだよ。どうせ拾う気がないなら最初から手を出すなってんだ。》
(Fool enough to blame yourself, abandoned your head. Fxxk off, you shallow w---.)
『で、改めて問うけど世界をどう解釈するの?』
</-Who may circulate us,->
「今、壁の向こうで
冬の花火が上がるから、
逃さずにプリズムに閉じ込めるの。
貴女の想う何よりも、
遥かに高い場所で、」
軸を持つ者全てに戒厳令を
決して止まらぬよう号令を
帰らぬ者全てに魔女狩りを
決して残さぬよう声明を
未だ震えて待つ
暴れ終わるのを
そして
眠りに就いたなら、
今度こそ刺してあげましょう。
あげましょう。
あげましょう。
あげまs
●擦過傷●刺創●汚染創●咬傷●挫滅創●広範囲熱傷
選出作品
作品 - 20200608_838_11941p
- [優] III - アルフ・O (2020-06)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
III
アルフ・O