僕は貴女のことは知らない
でも
同じ子宮を持って産まれたことは知ってる
その鉄塔を含む景色も
麦の焼ける匂いも
何月何日の夕方に雨が降った
そんな瑣末な記憶すらも
風を伝って受け継いでいる
何処にいたって剥がれ落ちる組織
その生命活動として比喩する間すら
顕現したばかりの余所者の概念が嘲笑って
僕と貴女とそれに連なる幾多の記憶を上塗りしてゆく
「聞こえる?
「星の胎内までは私が案内するわ、
君が望んでくれさえすれば、
貴女のことは知らない
同じ子宮を持って産まれた
その事実だけで
世界を肯定する理由は流れて止まない
選出作品
作品 - 20200414_850_11812p
- [優] Eve - アルフ・O (2020-04)
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Eve
アルフ・O