恐怖を笠に着て暴れる村人を
女は一人、女になるまで見ていた
醜さと憎さばかりが増していき
次第に女はこう思うようになった
何者でもいいから愛していたい
捨て子に親は作ってやれない
その擬似的空間を作るのだ
もしかしたらそれは夢うつつ
両親と食べた午後のパンケーキ
故知らぬ懐かしい味に笑う
首を吊ろうとして落っこちたら
喉には細い紐で引き裂かれた傷
「ダイエットしなきゃいけない」
下らない冗談を言ったつもりが
どうも皆が俯いて後を続けない
毎日金星の位置を確かめる
金星でない天体も見ている
月の光がこんなにも眩しいとは
浅い雨に潮風を感じる様になり
赤黒くくすぶる夜空が広がる
選出作品
作品 - 20200222_106_11718p
- [佳] 夕星 - ネン (2020-02)
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夕星
ネン