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作品 - 20190914_083_11454p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


目の前に、僕と私

  黒羽 黎斗

崩れる昼下がりの中で、目に見えていた我々だけが確かで、
特別だから、重力が増していく。
彼が認めても変わらないのが自明ならば、
新しい日付に眠りはなくなる。
変わり者だって普通に歩くし、夜は陽の光を歓迎する。
それでも過去の言葉を借りて足りない音の中に血を注ぎ込む。
知らされた宿命なんて知ったことではないし、応える必要もないなんて、
ただの言い訳、怨嗟の声、
深淵に限った話ではなく、明るくて寒くて浮き上がるような
今日のこの部屋を、侵略戦争の先駆けにしよう。

新聞を取っていない人間には分からない話だろうが、
昨日のチラシの中に宅配ピザの広告があった。
歴史の教科書に則って書かれていたその赤色の広告は、どうせトマトの色なのだろう。

窓枠に溜まった埃は、結局のところ天井も床板も関係ない。
表に出ていた奴らは雨を羨んで、
そんなことも分からなくなった老いぼれは晴れの日に耳を塞ぐ。
二度三度と繰り返すうちに生まれてしまった、僕らのような深紅の夢は、
家の話をしたがらない。
自らの手で壊そうとして、壊れなかったあの家の話を、
誇りに思ったりなんかできない。
願望が届かないその先へ
知らされてしまった光の行方を、
ごみ箱に捨てた。

知識も本能も崩れてしまい、残りもしなかった薄氷に
ボールペンで刻み込まれた、ただ透明な、異国の文字

僕の子供がいつしか積み木を使って、僕を、破壊する。
それでいい。

文学極道

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