選出作品

作品 - 20190729_300_11351p

  • [佳]   跣 - 玄こう  (2019-07)

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 跣

  玄こう

ペンさきと紙の地とは
神の女の血を入れ替え
僕の血とを入れ替えた
紫色をした針さきのか細い管をしたん
朝と夕とに降った液光のチューブの滴
Superumaの液が僕のキッチンを拭う
錆びたT刃で彼の女の顔顎下や口元を
撫であげるスキンに赤くラインがのる
彼の女を眠らせちびたブラで歯を磨く
口腔の奥にある陥没した親不知 おあよ
M.O.U.R.N.I.N.G 洞窟にブラをあて
ドン ふぁ ふぁ ふぁ
ドン し  ら* ら+ ら゙ といった
ハミング練習を歯磨でするのが好き
ときおり口をすぼませ po.po.とやる
あるとき父が竹の横笛 をつくってくれた
ときおり縁側で吹いて 聞かせてくれた
ときおり‐‐‐‐‐‐ 親不知の奥から
出る血を‐‐‐‐‐‐ ブラシに眺めて
お.は.よ‐‐‐‐ M.O.U.R.N.I.N.G
きのう早い朝に泥靴で川を渡った一足を
「跣」から履き今朝も我が家の玄関を出た
この詩はペンと紙で書いたものではないが、
恐らく 跣 で こうやって文字を追いやり
唄い歩きつ いつも こうやって
僕たちの血を入れ替えていくのだろう。