選出作品

作品 - 20190406_524_11153p

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消失点

  水漏綾

自分がうつくしいひとであることを
知らないあの子は
今日も古文単語を覚え続ける
わたしは、
わたしだけがそれを
知っていることが悲しかった

ひい、ふう、

遊覧船に乗ることは
まばゆい時代を
歩いて進むことといつだって似ていて
観覧車から顔を出すことは
叶わないもので
スーパーカーは青色がいい
レモンエロウの絵の具は
使いきった
割れた卵は元に戻らない

みい、

あの子の顔
波によって
雲みたいに
隈取られた
そして最後
見えなく
なった