*遅延した、夕方の車内で
田舎を横断するスカイライナー。カラカラカラ。白い風車が輪る、空耳を正確に打ち込む趣味へ没頭すると、町の先輩が正しい唇の使い方を教えてくれた。ぶ厚い骨の皮が剥がれて、食物繊維みたいな、感触の糸が見えたら、もう不思議な光は消えているね、人間は、いくつまで洋服に包まれていれば
*リン酸ガムシロップ
ほらほら。投げるためのブーケ。火は、再び開かれ、誰だかよくわからないほね。割れた光は、死化粧された、星空をあや取りする。白銀の東京タワー。建立して? まだ骨組みの金閣寺を放火するまで、自我を保ったわたし、を、もやしてしまったら、もう、どうしようもなくなってしまうの、
でも、
本当は、
あの中で、
何があったの?
ききたい?
...ええ、
おしえてあげない
*老人
ピアノ線は張り巡らされた
この大東京の空に
電線が消えていくのを
リアルタイムで見ていた
空襲警報
若者達は空を見上げる
スマートフォンは使えなくなった
ひたすら映写機を回して。
街を写す余裕はいくらでもあった
煤けたポロライドカメラを右手に。
老人は、
覚えたてのハーブを吸うことで牢屋に落とされた
いくつもの都市が
古い馬車の処理に困った末
貴重なガソリンを振りかけて
燃やしてしまった
不釣り合いな十字架の墓が並ぶ
荒川の河川敷に広がる
草野球グラウンド・ゼロ
選出作品
作品 - 20190318_302_11123p
- [佳] 火は鎮むにつれ饗宴になり - 屑張 (2019-03)
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火は鎮むにつれ饗宴になり
屑張