選出作品

作品 - 20190211_759_11061p

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sweet erotica

  白犬

password key 「世から炙れたありふれた言葉達」

りぼん で 結ばれた

言葉達が 私を笑わせ まさぐる時

冷えた肉の 懊悩 の 焼き 爛れた 匂い が 香ばしく脳に沁みつく時

あたしは思い出している 幾千、幾万 の トルソ (の修作達の あの青褪めた表情)

海のような彼らの色彩を 花のように纏めて 単純な言葉を印す

「you」


悪意を束ねた花束で 擽る

りぼんで束ねられた貴方の手足は巧く動くことが出来無いから

僅かな痙攣があるだけ、冷えた空気の中で その肉から 熱だけが 白い粉のように 漏れ始めてる

「you」

いつか縛り上げられた真実が きうきうと 声を漏らし始めた時

あたしの口は弧を描いている ねぇ そんなに 涙 垂らして 「気持ちい、の?」

「me」

「me」

「メ?」

目って 何をいつも吸収しているのかな そんなに吸収して パンクしちゃわないのかな ねぇ、君から漏れてる それ 何?

それは何処から来たの? ちゃんと記憶辿れる? 遺伝子レベルの悪戯のこと、 私の手は速さを増している イジワル な 微笑みを浮かべて だって わたしは運命とやらが大嫌いで あたしの魂はもうこんなにも藍色になってしまった

「責任取ってね」

貴方の感情の瘤を いつの間にか鴉の羽根に変わった元花束で 執拗に嬲ると 貴方はべそをかいている 零れ落ちる汗 あたしは現実とかゆーのを煙草の煙でふぅっと払う

だってリアリティはいつだって宇宙の波長の波間に打ち上げられた嘘だから 最後まできちんと虐めてあげよう

いつしかいつかあたしがされた最上の歓びを写し取るようになぞっている あたしは今だけ機械仕掛けのバレリーナだ チュチュの上に狼の顔 細長く生臭い舌で 貴方の顔をべろんと舐める 貴方の顔が歪むのが好き


「you」

「me」




君がちゃんと孕むように 記憶を少し壊して上げる あたしたちの目玉はいつだって現実の外側へは行けないから 記憶を壊すことは現実を少し殺すことだ あたしはもう狂っているかもしれないけれど そんなことはたぶんどうでも良い 貴方の付け根のりぼんをきゅ、ときつく縛り直す

痛いならもっとちゃんと泣いて。ね、まだだよ

シュプレリヒコールが鳴り止まない窓に乾いた笑みを投げかけて 夜は静かに冷えて 君の体は熱い ずっとずっと 嘘 だ から 彼らの嘘を壊してあげよう sweetな黄金の蜜を降らせてあげよう 君 ら の 絶望は シンプル過ぎる よ だから

「も…と、ぜつぼ、して…?」

熱源 から 有り触れた 殻 を 取り除いて もっと もっと 君の 君の 君だけの 有り触れてない 声 聴かせて

(縛り上げられた現実がひゅうひゅう喉を鳴らして解放をせがむ頃 あたしは深く突き入れて笑っている これは貴方達の狂気だと私は言うだろう ねぇ 君の 私の 愛しい嘘)

あたしに 聴かせて 世界がどんな風に組み上がっているのか あたしの手の中で組み立てられたジオラマの中を 奔る 電車 の 中 から 君 が覗く 虹 で 君の目が 潰れる ように もう 明日が 来ないように そうして それから そしたら

(昔昔 あたしがされたこと 存在論の基本的ループ なら 君に酷くしてあげる あたしの心臓の羅針盤が好色な涙を垂らして あたしの虹色の理性は真面目な涎を垂らしている 君につける傷が いつか 君を導く護符に変わるよう)

「ほんとう」

がね もう一度 あたしたちを殺しに来てくれるように

(記憶を白銀に変えて 貴方達が散っていく時 私は不定形の笑みを浮かべて 宇宙を歩いている頃だろうか ねぇ、覚えてる?)








password lock 「訪れる死と共に あたしはもう1度自由になるだろう」





燃えるように熱い




もう 限界かな

解き放つりぼんに 君が震えるのを あたしは笑いながら見てる

白目を剥く君

疲れたね 少し休もうね 窓の外に 白い朝の光 password key 「世から炙れたありふれた言葉達」 あたしたちは透明のばらばらになりながら さよならを何度も響かせている から いつか君が迷ったなら あたしの肉を目印にして 甘いミルクを覚えていて 迷わず殺して良いよ。







藍色の海を漂う透明な花束 ひとひらの白い羽根