あかあかや あかあかあかやあかあかや あかあかあかやあかあかや月
 山のはにわれも入りなん月も入れ 夜な夜なごとに友とせむ
 (明恵上人御歌)
 嗚呼、あかくひん剥かれた樹皮の掛け軸が、うえへうえへと昇っていく
 上人もまつられ 又木に坐り浮かれている 目をあけているのか 閉じているのか わからない 何かが見えればと思ったが 目を閉じながら何かを見ていた 
 絶え間なく広木の伸びるやわらかな絵筆は 色の雫をつたいやがては線が線ではなくなった 線をはなれて線でなくなった 
 われは見き われは聴く 片耳削ぎの上人の 樹皮をひんむいた血糊の松の枝間には 明かあかや あかあかあかやあかあかや あかあかや
 (樹上坐禅像)
  
                                 .
	
選出作品
作品 - 20190122_394_11017p
- [佳] (無題) - 玄こう (2019-01)
 
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
(無題)
  玄こう